弁護士視点で知財ニュース解説

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意匠法改正 デザインのシリーズもの保護強化に

cont_img_68.jpg意匠法の改正法案が,この通常国会(平成31年1月28日?6月26日)に提出される見込みです。

意匠法の改正のポイントは,関連意匠の出願期間が,本意匠の意匠公報の発行日前までとされていたのを,本意匠の出願から10年以内とされ,関連意匠の保護期間も,本意匠の出願から25年以内とするというものです。

商品のデザインは,特定のデザインを基本に,さまざまなバリエーションが生まれることがあります。

特定のデザインを創作する時点で,さまざまなバリエーションを検討しておくということが行われることがありますが,バリエーションについて検討されていない,検討されていたけれども,市場の反応を見定めて別のバリエーションが創作されるということも少なくありません。

意匠法では,デザインのバリエーションを関連意匠として保護する制度が存在したのですが,関連意匠の出願期間が,本意匠の出願の日から本意匠の登録公報発行の前日までに制限されていました。

通常,出願から登録までの期間は,半年から1年弱程度ですので,その期間に関連意匠を出願しておかなければ,デザインのバリエーションが保護されませんでした。

ところが,今回の意匠法改正案では,本意匠の出願から10年以内であれば関連意匠の登録を行うことができるという内容になっています。

また,関連意匠の出願期間が大幅に延長されたことにともない,関連意匠の保護期間が本意匠の保護期間(登録から20年)に限定されていたものを,本意匠の出願から25年に延長され,本意匠の保護期間が経過した後も,関連意匠だけが保護されるという内容になっています。

市場において長期にわたり受け入れられているデザインが存在します。 そのようなデザインは,市場のニューズに応じて変化していくものです。

現在の意匠法では,バリエーションのデザインが模倣されたとしても,登録された意匠に類似していないと評価されると保護されることがありませんでした。

ところが,意匠法が改正されますと,バリエーションのデザインを関連意匠として登録すれば,関連意匠として登録されたデザインと模倣品が類似すると判断されれば意匠権侵害となりますので,保護の範囲が大幅に拡大されることになるわけです。

デザインの対象は,商品だけに限らず,空間であったり,情報に対しても,さまざまな目的で施されることがあります。

意匠法は,商品以外のものに施されたデザインをどのように保護していくのか,「保護すべきデザインの対象をどこまで取り込むのか」という重大な問題を長年に抱えています。

今回の改正では,デザインのバリエーションの保護の拡大に留まっており,保護対象の拡大にまで及びませんでした。

IOT化進むと,商品は,全体のビジネスモデルの中の端末としての位置づけが強まり,デザインの比重もビジネスモデル全体の設計に移行していき,ビジネスモデル全体からみれば端末と認識されるようになる商品のデザインの比重が低下していくことになります。

IOT化とデザインの関係については,こちらの記事をご覧ください。

この結果,主に商品に対するデザインの保護を図る意匠法の重要性も低下していくことになりますので,デザイン保護の中核に位地する意匠法が,保護対象の範囲を拡大していくということは避けて通れない道であると思います。

特許庁が打ち出している「デザイン経営」というのは,まさしくこのことを示唆するものです。

IOT化を前提にした意匠法の議論,意匠法にとどまらずデザイン保護法制に関する議論が,より高まりを見せることを期待しています。

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