弁護士視点で知財ニュース解説

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「デザイン経営」に関する政策提言(2)

intellectual_04.jpg経済産業省と特許庁が公表した「デザイン経営」宣言にでは,政府が実施すべき政策・取り組みの一つとして,意匠法の大幅な改正があります。

提言された意匠法の改正には,手続に関するものと保護対象の拡大に関するものとがあります。

デザイナーは,IoTにより商品から収集される情報を分析し,ユーザー目線で,ユーザーニーズの充実度や,潜在的ニーズの掘り起し,新たなビジネスモデルを提案していくことになります。

繰り返し提供されるビジネスモデルに,企業が大切にしている価値などが統一して表現されており,ユーザーがそれを代替性がないものとして受け入れたときにブランドとして確立されるわけです。

これからのデザインによるブランド確立は,個々の商品を対象とするものではなく,ビジネスモデルを構成するモノ全てが対象となります。 そして,デザイナーとしては,統一的な美感をもった複数のモノを,一くくりにして法的な保護を図っていきたいと考えるようになります。

ところが,現在の意匠法は,「一意匠一出願制度」を採用し,複数の意匠を一つの出願手続により権利登録することができません。

また,現在の意匠法には,同時に使用される二つ以上のモノを組物意匠として登録することができるようになっていますが,組物の意匠として登録することができるのは政令で指定されているモノに限定されています。

そして,意匠登録出願の際には,登録された際に意匠権がモノを指定する「物品の特定」を行う必要があり,形態としての権利範囲を確定する図面を提出する必要があります。

現在のこれらの制度が,これからのデザインの法的保護にそぐわなくなってくるとの理由で,改正を検討すべきものとして取り上げられています。

また,商品がIoT化する中で,商品やサービスが複雑化し,UI(ユーザー・インターフェース),UX(ユーザー・エクスペリエンス)が果たす役割が高まっているとともに,VR(仮想現実),AR(拡張現実)の技術や,投影技術を用いた商品やサービスの提供が行われており,画像などの新技術を用いた商品やサービスのためにデザインが行われることになります。cont_img_27.jpg

さらに,ユーザー目線の商品やサービスを提供するにあたり,ユーザーとの接点の場(空間)が重視されており,企業は,企業が大切にしている価値などを空間にも表現し,ブランド形成の方法と採用するようになっています。

ところが,現在の意匠法では,物品(物品の部分を含む。)の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって,視覚を通じて美感を起こさせるものを「意匠」と定義しされています。

そして,近年の改正で,物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であって,当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるもの(このような条件を備えたユーザー・インターフェース)が含まれるとされました。

しかし,現在の意匠法が定義する意匠だけでは,IoT化する商品や企業が重視する顧客との接点の場を保護することはできません。

今回の政策提言では,意匠法における「意匠」の定義を見直し,デザイナーが保護を求める対象を広く取入れることを検討するべきであると指摘されています。

今回の政策提言が求める「意匠」の再定義は,世界に先立って行われる検討になりますので,紆余曲折が予想されるところではあります。

しかし,意匠制度が社会で活用され,デザインを経済競争力の源泉として活用するためには,避けて通ることができない検討課題ですので,今後の議論に期待しているところです。

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