弁護士視点で知財ニュース解説

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著作権法改正 新47条の5

intellectual_01.jpg権利者に及び得る不利益が軽微であるが社会的に有用な行為類型として規定されたのが新47条の5の規定です。

新47条の5の規定は,検索情報の特定,所在に関する情報を検索,その結果を提供する行為,電子計算機による情報解析を行い,その結果を提供する行為が規定されており,今後も政令で指定されると適用範囲が拡大していきます。

今般の著作権法改正は,広く国民が有する現在又は将来の著作物利用ニーズを把握した上で行われていますが,ニーズが明確であり,かつ,権利制限による対応の正当化根拠の見通しが相当程度説明されたものを優先的に検討するという方法がとられました。

今後,内容が明確になり,権利制限正当化根拠が相当程度説明されるニーズが出てくることを想定して,政令の指定によって著作権行使が制限される行為を拡大する余地が設けられているのです。

新47条の5第1項では,以下のとおり規定されています。

自動公衆送信装置等(自動公衆送信装置及び特定送信装置(電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち特定送信(自動公衆送信以外の無線通信又は有線電気通信の送信で政令で定める基準に従って行う者に限る。)は,公衆への提供又は提示(送信可能化を含む。以下この条において同じ。)が行われた著作物(以下この条及び次条第二項第二号において「公衆提供提示著作物」という。)(公表された著作物又は送信可能化された著作物に限る。)について,当該各号に掲げる行為の目的上必要と認められる限度において,当該行為に付随して,いずれの方法によるかを問わず,利用(当該公衆提供提示著作物のうちその利用に供される部分の占める割合,その利用に供される部分の量,その利用に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものに限る。以下この条において「軽微利用」という。)を行うことができる。ただし,当該公衆提供提示著作物に係る公衆への提供又は提示が著作権を侵害するものであること(国外で行われた公衆への提供又は提示にあっては,国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知りながら当該軽微利用を行う場合その他当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該軽微利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。

  1. 電子計算機を用いて,検索により求める情報(以下この号において「検索情報」という。)が記録された著作物の題号又は著作者名,送信可能化された検索情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字,番号,記号その他の符号をいう。)その他の検索情報の特定又は所在に関する情報を検索し,及びその結果を提供すること。
  2. 電子計算機による情報解析を行い,及びその結果を提供すること。
  3. 前二号に掲げるもののほか,電子計算機による情報処理により,新たな知見又は情報を創出し,及びその結果を提供する行為であって,国民生活の利便性の向上に寄与するものとして政令で定めるもの。

本条の適用を受けることができる主体は,自動公衆送信を行う者,無線通信又は有線電気通信の送信で政令で定める基準に従って行う者となります。

旧47条の6に関する著作権法施行令7条の5では,情報の収集,整理及び提供をプログラムにより自動的に行うことが要件とされていましたが,アナログの情報も含むとされています。

旧47条の6では,送信可能化された著作物(受信者制限があるときは承諾されたもの)に限定されていましたが,公衆提供提示著作物で,公表又は送信可能化された著作物に拡大されています。

軽微利用であるか否かの判断は,公衆提供提示著作物のうち,利用に供される部分の占める割合,利用に供される部分の量,利用に供される際の表示の精度などの外形的な要素に照らして判断するものであり,権利者の不利益の程度が軽微である,利用目的に公共性がある等の要素を考慮するものではないとされています。

なお,権利者の不利益の程度,利用目的に公共性は,ただし書において考慮されることになります。

新47条の5第2項では,以下のとおり規定されています。

前項各号に掲げる行為の準備を行う者(当該行為の準備のための情報の収集,整理及び提供を政令で定める基準に従って行う者に限る。)は,公衆提供提示著作物について,同項の規定による軽微利用の準備のために必要と認められる限度において,複製若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては,送信可能化を含む。以下この項及び次条第二項第二号において同じ。)を行い,又はその複製物による頒布を行うことができる。ただし,当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該複製又は頒布の部数及び当該複製,公衆送信又は頒布の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。

知見・情報の創出に用いるデータセットの準備を行う者とサービスを提供する者とが別の主体であることがあります。 2項は,知見・情報の創出に用いるデータセットの準備を行う者による著作物の利用を認め作成及び取引を認める規定です。

例えば,AIの学習用データセット等が本条が想定する対象です。

なお,知見・情報の創出・提供サービスに必要なデータ等の作成及びその取引は,新30条の4・新47条の7によっても可能となる場合があります。

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