弁護士視点で知財ニュース解説

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食の知財「GI」 日本でも総点検

cont_img_50.jpg「GI」 日本では未だなじみの少ない言葉かもしれませんが,geographical indications(地理的表示)の略で,生産地と結びついた食品の名称です。

「但馬牛」や「夕張メロン」などが代表例で,特定の地名を示すことによって食品の高い品質を示す効果があります。

2019年2月1日に発行したEUとの経済連携協定(EPA)では,EU側で71産品,日本側で48産品を高いレベルで守るべきものとして指定されています。

政府は,この1年で国内での不正使用の事例を調査し,不正使用の事例が発見されれば表示の見直しを促し,7年以内に不正使用「0」を目指す方針を示しています。

「GI」は近年意識されるようになったのではなく,EU各国では,古くから地理的表示の保護を行っています。

日本でも1935年に不正競争防止法が制定された当初から,原産地を誤認させる表示を使用する等の行為が不正競争行為と定められおり,古くから地理的表示の保護が図られてきました。

当初,不正競争防止法で原産地表示の保護を図る目的は,専らEU各国の食品ブランドを保護するところにありました。

日本の食品ブランドが海外でも注目されるようになり,2005年には商標法が改正され,農協や漁協等が地名と商品名とを組み合わせた地域団体商標という制度が設けられました。

この制度は,個人に商標登録を認めるのではなく,地域の特定の団体に商標登録を認め,地域の食品ブランド表示を保護する制度です。

特許庁が管轄する地域団体商標制度とは別に,農林水産省が管轄する地理的表示(GI)保護制度も存在します。

この制度は,農林水産省に,生産地や品質基準とともに農林水産物等を登録することで,登録基準を満たす産品にGIマークを使用することができ,高品質の産品として流通させることができるものです。

現在では,日本の食品は高品質でかつ安全な食品として理解されるようになり,多くのブランド食品が海外に輸出されるようになり,食品ブランド発信国として,海外においても日本の食品ブランドの保護を図っていかなければならない立場になりました。

そして,EUとのEPAで,食品ブランド発信国として双方の食品ブランドの保護を促進することが約束され,日本においてEU各国の原産地表示の不正使用の根絶を目指すというのが,今回の政府の動きであるわけです。

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