弁護士視点で知財ニュース解説

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マリカー判決(1)

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「マリオ」のコスチューム衣装を貸し出した上で公道でカートを走らせる行為が,任天堂の知的財産を侵害することになるのか。 東京地裁は平成30年9月27日に,このような行為が不正競争防止法に違反すると判断しました。

判決は,閲覧が制限されているため内容の詳細は不明ですが,著作権侵害と不正競争防止法違反に基づく主張を行っていた任天堂の主張に対し,東京地裁は,不正競争防止法に基づく主張を認め,「マリオ」のコスチューム衣装を貸し出した上で公道でカートを走らせる行為の差止めを認めた上で,1,000万円の損害賠償を認めたようです。

マリオカートは,スーパーマリオブラザーズのゲームキャラクターなどがカートに乗って様々なコースで競争を行うというゲームで,マリオカート,スーパーマリオブラザーズは,いずれも任天堂の看板ゲームです。 中でも二つゲームの共通するキャラクターであるマリオ,ルイジという兄弟キャラクターは,ゲームの範疇を越えた,いわば任天堂の看板ともいえる存在です。

そして,マリオやルイジは,絵,人形,ぬいぐるみ,着ぐるみなど様々な方法で使用されており,その容姿は著作権の対象になります。

「マリオをルイジの姿を頭に想像してみてください。」と言われると,多くの方が頭の中でキャラクター像を思い浮かべることができるのではないでしょうか。 このような多くの方が頭の中で思い浮かべるであろう共通の像が著作権によって保護されるのかについて最高裁は判断を行っています。

そもそも,最高裁が,なぜこのような判断を行ったかというと,過去の東京地裁の判決で,そのような抽象的な存在であるキャラクターが保護されると判断されたことがあったからです。

ちなみに,このような抽象的な存在であるキャラクターが保護されると著作権者としてはキャラクターの特徴を特定する(例えば,マリオの場合ですと,赤い帽子をかぶり,丸顔で,口ひげをはやし,赤色の長袖シャツ,青色のオーバーオール,白色の手袋,茶色の靴を着用した容姿という具合に特定することになります。)だけでよく,実在する絵,人形などと比較すると非常に広範な権利を取得することができるため,権利者に有利にはたらきます。

何が問題となっているのかについて容易に理解することができますので,少し長いですが,サザエさんが問題となった東京地裁昭和51年5月26日判決を引用します。

漫画「サザエさん」には,その主役としてサザエさん,その弟のカツオ,妹のワカメ,夫のマスオ,父の波平,母のお舟等が登場し,サザエさんは平凡なサラリーマンの妻として,家事,育児あるいは近所付合いなどにおいて明るい性格を展開するものとして描かれており,またその他の登場人物にしてもその役割,容ぼう,姿態などからして各登場人物自体の性格が一貫した恒久的なものとして表現されており,更に特定の日の新聞に掲載された特定の四齣の漫画「サザエさん」はそれ自体として著作権を発生せしめる著作物とみられ得る。

そして,右特定の四齣の漫画には,特定の話題ないし筋ともいうべきものが存するが,たとえ原告自身が作成した漫画であって,その話題ないし筋が特定の四齣の漫画「サザエさん」の話題ないし筋と同一であっても,そこに登場する人物の容ぼう,姿態等からしてその人物がサザエ,カツオ,ワカメ等であると認められなければ,その漫画は漫画「サザエさん」であるとは言えないし,逆に話題ないし筋がどのようなものであっても,そこに登場する人物の容ぼう,姿態等からしてその人物がサザエ,カツオ,ワカメ等であると認められれば,その漫画は,原告自身が作成したものであればもちろん漫画「サザエさん」であり,また他人が作成した漫画であってもそこに登場する人物の容ぼう,姿態等からしてその人物が原告の作成する漫画「サザエさん」に登場するサザエ,カツオ,ワカメ等と同一又は類似する人物として描かれていれば,その漫画は漫画『サザエさん』と誤認される場合があるであろうと解される。

更にまた,右のように長期間にわたって連載される漫画の登場人物は,話題ないし筋の単なる説明者というより,むしろ話題ないし筋の方こそそこに登場する人物にふさわしいものとして選択され表現されることの方が多いものと解される。 換言すれば,漫画の登場人物自体の役割,容ぼう,姿態など恒久的なものとして与えられた表現は,言葉で表現された話題ないしは筋や,特定の齣における特定の登場人物の表情,頭部の向き,体の動きなどを超えたものであると解される。 しかして,キャラクターという言葉は,右に述べたような連載漫画に例をとれば,そこに登場する人物の容ぼう,姿態,性格等を表現するものとしてとらえることができるものであるといえる。」

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