弁護士視点で知財ニュース解説

弁護士視点で知財ニュース解説

著作権法改正 新47条の4

intellectual_01.jpg権利者の利益を通常害さないと評価できる行為類型として二つ目に規定されたのが新47条の4です。

新47条の4の規定は,情報処理の高速化を行うためにキャッシュを作成する行為,インターネットのサービスプロバイダがウィルスや有害情報等のフィルタリングを行うための複製,メモリ内蔵型携帯音楽プレイヤーを他の同様の機能を有する機器に交換する際に一時的にメモリ内の音楽ファイルを他の記録媒体に複製する行為等が想定されています。

新47条の4第1項では,以下のとおり規定されています。

電子計算機における利用(情報通信の技術を利用する方法による利用を含む。以下この条において同じ。)に供される著作物は,次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用に付随する利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。

  1. 電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合において、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑又は効率的に行うために当該著作物を当該電子計算機の記録媒体に記録するとき。
  2. 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該他人の自動公衆送信の遅滞若しくは障害を防止し、又は送信可能化された著作物の自動公衆送信を中継するための送信を効率的に行うために、これらの自動公衆送信のために送信可能化された著作物を記録媒体に記録する場合。
  3. 情報通信の技術を利用する方法により情報を提供する場合において、当該提供を円滑又は効率的に行うための準備に必要な電子計算機による情報処理を行うことを目的として記録媒体への記録又は翻案を行うとき。

1号は旧47条の8(主たる利用の適法要件を削除),2号は旧47条の5第1項1号(遅滞・障害の原因等を削除),3号は旧47条の9の規定が例示として示されています。

新47条4第2項では,以下のとおり規定されています。

電子計算機における利用に供される著作物は、次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用を行うことができる状態を維持し、又は当該状態に回復することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該 利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

  1. 記録媒体を内蔵する機器の保守又は修理を行うために当該機器に内蔵する記録媒体(以下この号及び次号において「内蔵記録媒体」という。)に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録する場合。
  2. 記録媒体を内蔵する機器をこれと同様の機能を有する機器と交換するためにその内蔵記録媒体に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同様の機能を有する機器の内蔵記録媒体に記録する場合。
  3. 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該自動公衆送信装置により送信可能化された著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供するために当該著作物を記録媒体に記録するとき。

1号は旧47条の4第1項(複製機能は不要),2号は47条の4第2項(欠陥・故障要件は不要),3号は47条の5第1項2号(保存禁止は削除)の規定が例示として示されています。

1項は,コンピュータにおける著作物の利用を円滑又は効率的に行うために,コンピュータにおける利用に付随する利用に供することを目的とする場合,2項は,コンピュータにおいて著作物を利用することができる状態を維持し,当該状態に回復することを目的とする場合に関する規定です。

新47条の4は,新30条の4の非享受目的のように適用範囲が広く設定されておらず,1項及び2項の各号に列挙された行為と類する行為に限定されています。

1項及び2項の各号に定められた行為に準ずる行為であっても,権利者が独立して対価を得る機会を奪うことになると評価される場合には本条の適用がありません。

例えば,古いデータ形式の著作物を現在のメディアで使用できるように複製する行為などは,権利者の独立した対価獲得機会を奪うものと評価され,本条の適用対象外になる場合が多いのではないかと考えています。

1 2 3 4

ページトップへ戻る

スター綜合法律事務所

〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目11番22号
阪神神明ビル 2F

  • JR大阪駅より徒歩11分
  • JR北新地11-41番出口より徒歩8分
  • 地下鉄東梅田7番出口より徒歩10分
  • 地下鉄淀屋橋1番出口より徒歩10分
  • 地下鉄南森町2番出口より徒歩10分
  • JR新大阪駅より車10分