弁護士視点で知財ニュース解説

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著名人の肖像や氏名

多くの方は,著名人の肖像や氏名を無断で使用してはならないということを感覚的には理解されているものと思いますが,

法律として考えた場合に,なぜ,著名人の肖像や氏名を勝手に使用してはならないかということまで理解されている方は少ないのではないでしょうか。

ちなみに,著名人の肖像や氏名を無断で使用することを禁止する法律というものは存在せず,裁判所の判例により禁止されています。

ところで,多くの方は,なぜ,著名人の肖像や氏名を商品に使用したり,広告などに使用したりするのでしょうか。

それは,著名人の肖像や氏名を商品や広告などに使用することにより,より多く商品が売れたり,企業のイメージアップにつながるからです。

つまり,著名人の肖像や氏名には,顧客を引付ける力があり,このような著名人の肖像や氏名が持っているる顧客吸引力のことを法律の世界では「パブリシティ権」といいます。。

このパブリシティ権は,人格権のあらわれてとして平成3年には東京高裁において認められていました。

そして,東京高裁においては,人が固有に有する人格権と同様に,差止請求や損害賠償請求も可能であると判示しており,パブリシティ権とは,このようなものと理解されていました。

ところが,平成24年になって最高裁においてもパブリシティ権に関する判決が下され,パブリシティ権は認められたものの,不法行為に基づく損害賠償請求権のみを認め,差止請求権については何らの言及も行われませんでした。

この最高裁の判決を受けて,最高裁が差止請求権そのものを否定したと考えるのは早急に過ぎるのかもしれませんが,少なくとも現段階においては明確に認めていないものと理解する必要があります。

また,最高裁は,パブリシティ権の侵害に基づき,損害賠償が認められる場合を制限しています。

この最高裁の判決を受けて,パブリシティ権の内容は,一歩後退した感がありますが,今後,さらなる議論が必要な分野であると思います。

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