弁護士視点で知財ニュース解説

「ふじ君」は誰のもの?

6月6日,山梨県警のマスコットキャラクター「ふじ君」は,自身の著作物である「ふじくん」を無断で複製したものであるとして,甲府氏のデザイナー(以下,「原告」といいます。)が,県に対して使用の差し止めと損害賠償を求めて提訴しました。
「ふじ君」は,いったい誰のものなのでしょうか。

cont_img_42.jpg「ふじ君」の使用が著作権侵害(著作者人格権侵害は除く。)と認められるためには,「ふじくん」が著作物であること,「ふじくん」の著作権が原告に帰属していること,が必要となります。

まず,「ふじくん」は,富士山を擬人化し,目,鼻及び口を付したものであるところ,富士山を擬人化するという発想はそれほど個性的なものではなく,顔のパーツや配置もそれほど個性的なものではなく,富士山の擬人化として通常予想されるありふれた表現といえます。
したがって,仮に著作物性を認めるとしても,その保護範囲は制限されることになるでしょう。
保護範囲が制限されるとは,複製権侵害を主張されている作品が,著作物と極めて酷似していなければ著作権侵害とはならないという意味です。

仮に,「ふじくん」が著作物であるとした場合,「ふじくん」の著作権が誰に帰属しているかが問題となります。

今回の事件では,国体の準備委員会が原告にデザインを依頼したところ,「ふじくん」が国体のマスコットとして利用するために制作されたという経緯からすると,具体的な依頼内容,契約内容は不明ですが,原告は準備委員会が「ふじくん」を利用することを許容している可能性が認められます。

考えられる契約内容としては,期間や使用対象を限定した利用許諾契約,原告が準備委員会に対して「ふじくん」の著作権を譲渡するという契約,が考えられます。

前者の契約であれば,著作者はあくまで原告であり,契約の条件に違反する使用が行われた場合には,著作権侵害を主張することができます。
他方,後者の契約の場合には,原告は著作権者ではないので,著作権侵害を主張することができないことになります。

このように契約の内容により結論が異なりうるものでありますが,明確な内容を定めることなく契約をしていることも多く,どのような契約が成立しているかが争われることも少なくありません。

ページトップへ戻る

スター綜合法律事務所

〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目11番22号
阪神神明ビル 2F

  • JR大阪駅より徒歩11分
  • JR北新地11-41番出口より徒歩8分
  • 地下鉄東梅田7番出口より徒歩10分
  • 地下鉄淀屋橋1番出口より徒歩10分
  • 地下鉄南森町2番出口より徒歩10分
  • JR新大阪駅より車10分