弁護士視点で知財ニュース解説

写真を題材にした日本画は著作権侵害?

日本画家の黒川雅子氏が,自身が撮影した舞妓の写真と酷似した日本画を無断で発表され,著作権を侵害されたとしてとして,大阪地裁に訴訟を提起したニュースが報じられています。

報道の内容によると,黒川雅子氏は,5年ほど前から写生会で舞妓の写真を撮りためており,大阪市内の百貨店で5月に開かれた展覧会で,自分が撮影した写真によく似た着物や髪飾り,ポーズ姿をした坂根氏の日本画を発見したようです。

また,報道の内容によると,日本画家は,黒川雅子氏が撮影した写真100以上を返還したようです。

本件では,日本画家が主張しているように,黒川雅子氏が撮影した写真が著作物であるか,写真が著作物にあたるとして絵画が黒川氏の写真に依拠して制作されているかが問題となります。

写真は,被写体の選択,組合せ,配置,構図,カメラアングルの設置,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部部分の強調・省略,背景等の諸要素を統合して表現されるものとして,著作権法においても,写真が著作物の一つであると例示されています。

ところが,近時では,写真機の性能が進歩しており,人の撮影技術とは関係なく一定の写真を撮影することができるため,写真の著作物性が問題になることがあります。

そして,被写体をできるだけ忠実に再現することを目的とした写真については著作物性が否定される傾向にあるのですが,知財高裁で,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているということができるとして,被写体を忠実に再現することを目的とした商品写真の著作物性が肯定された例もあります。

また,知財高裁の裁判例を契機に,写真の著作物性の判断基準が低くなったと評価されることもあります。

他方,タレントのブロマイド写真については,被写体のもつ資質や魅力を最大限に引き出すため,被写体にポーズをとらせ,背景,照明による光の陰影あるいはカメラアングル等に工夫を凝らすなどして,単なるカメラの機械的作用に依存することなく撮影者の個性,創作性が現れているとして著作物性を肯定した裁判例があり,本件で問題となっている舞子の写真は,タレントのブロマイド写真に近い写真ではないかと想像しており,著作物性を否定するのは困難ではないかと考えています。

そして,日本画家が制作した絵画自体に高い芸術性が認められ,著作物であることが認められたとしても,当該絵画から元となる写真を感得することができる場合には,当該絵画は,写真の著作物の二次的著作物ということになり,写真の著作権者の同意なく絵画を制作することは認められないということになります。

法的にみれば,絵画の著作権者は,写真の著作権者の翻案権を侵害しているということになります。

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