経済産業省と特許庁は,特許出願や審査請求を行う際に必要となる公知技術の調査に関し中小企業を支援する取組みを行うことを発表しました。
特許出願や審査請求を行う際には,特許権として登録の見込みがあるか否かを判断するために公知技術の調査を行うことになりますが,調査の内容や範囲によって調査費用が高額になることがあります。
経済産業省と特許庁は,中小企業に対して,公知技術を調査する専門の分析会社などを紹介するとともに,中小にとって大きな負担となる費用も補助するという内容になっています。
支援事業は,政府が外部の事業者に委託し,委託を受けた事業者が特許情報分析の専門家や専門会社と提携し,中小企業からの申請を受けて分析業務を依頼するという方法を採用し,公知技術の分析に要する費用の全額または一部を国が負担することになっています。政府は,「中小企業等特許情報分析活用支援事業」として平成27年度予算案に1億4,000万円を計上しており,同年度より支援事業を実施していく予定となっています。
新しい技術の研究開発段階にある企業にとっては,先行技術がないかどうかを幅広く調べ,研究開発の方向性を定める手がかりとして情報を得る,出願や出願後の審査請求を計画している企業にとっては,実際に権利化が見込めるかどうかの見極めや,技術情報をどこまで公開して権利化し,どこから独自のノウハウとして秘匿化するかを決める「オープン・クローズ戦略」の判断材料を得る手段として有効であると思われます。
自社の費用で公知技術の調査を行っていた中小企業にとっては朗報です。これから実施される中小企業等特許情報分析活用支援事業の活用をご検討ください。