任天堂は,平成26年12月1日から,ニコニコ動画内で,ファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」やWii Uの「マリオカート8」,3DSの「ゼルダの伝説 時のオカリナ」など,機種・新旧を問わず約250タイトルについて「ゲーム実況動画」を公認し,さらに動画の再生数や人気度に合わせて奨励金を支払う「クリエイター奨励制度」にも対応すると発表しました。
なお,ゲームのタイトルは今後も増やしていくようです。
「ゲーム実況動画」とは,神業テクニックや最速クリアなど,実際のゲームの様子をアップロードし,ユーザーが視聴したりコメントしたりして楽しむというもので,ニコニコ動画の人気ジャンルの一つです。
ニコニコ動画のクリエイター奨励制度とは,人気のある動画の作成者と,その動画内で使用された親コンテンツに対し,奨励金が支払われる仕組みで,2011年末にスタートしてから,述べ11億円以上の奨励金が支払われています。
アメリカでは,ゲームをしている様子をアップし,実況中継を行うことで大きな報酬を得ている動画提供者もいるくらいで,日本においても,今後,このジャンルの動画がより一層人気を獲得していくことが予想され,ゲームメーカーとしても自社のゲームソフトの宣伝にもつながります。
そもそも,ゲームは,「映画の著作物」として著作権法により保護されています。
映画といえば,私たちが映画館やテレビなどで視聴する映画を想像し,ゲームが映画であるといわれると違和感があるかもしれませんが,裁判所では,ゲームは「映画の著作物」と理解されています。
映画の著作物には,複製する権利,上映する権利,インターネット上で公衆に送信する権利,複製物を頒布する権利などが認められており,著作権者であるゲームメーカーの承諾を得ることなくゲームの様子をニコニコ動画で送信する行為は著作権法違反となります。
しかし,ニコニコ動画において,ゲーム実況動画が人気を博するようにゲームメーカとしても,これを禁止することがゲームメーカーのイメージが悪くなる,ゲームの売れ行きに影響すると判断し,「ゲーム実況動画」の認めるようになってきています。
いわゆる市場の力が著作権法で認められる権利行使を抑制するという現象の一つであると思います。
著作権法の世界では,このような現象が少なからず発生し,新たな著作権制度を検討する契機を与えています。
今回の「ゲーム実況動画」に対する任天堂の対応は,この例の一つといえるでしょう。