弁護士視点で知財ニュース解説

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模倣品対策 輸入差止

財務省は,平成27年3月4日,模倣品の輸入差止の状況について発表しました。

公表の概要は以下のとおりです。

輸入差止件数は32,060件(前年比14.0%増・初めて3万件超え)
輸入差止点数は895,792点(前年比42.6%増)
差止価額は推計約180億円

輸入差止された模倣品の仕出国の主な国は,
中国  29,553件(構成比92.2%,前年比14.4%増)
香港   1,369件(同4.3%,同30.0%増)
韓国    422件(同1.3%,同28.7%増)

輸入差止点数では,
中国 728,136点(構成比81.3%,前年比43.3%増)
香港  68,264点(同7.6%,同5.8%減)
米国  50,765点(同5.7%、同3,125.2%増)

知的財産権別に見ますと
偽ブランド品などの商標権侵害物品 31,816件(構成比98.0%,前年比13.7%増)
キャラクターグッズ等の著作権侵害物品 527件(同1.6%,同37.6%増)

輸入差止点数では,
商標権侵害物品 825,297点(構成比92.1%,前年比37.7%増)
意匠権侵害物品  60,458点(同6.7%,同457.1%増)
意匠権侵害物品の差止点数は一昨年から増加傾向にありましたが,昨年は4.5倍以上の増加となり,日本のデザインが急速に海外で模倣されていることを示しているといえます。

商品別に見ますと
ハンドバッグや財布などのバッグ類 11,988件(構成比33.9%,前年比12.5%減)
でパーカーなどの衣類 7,434件(同21.0%,同54.9%増)
スマートフォンのケースなどの携帯電話及び付属品 3,331件(同9.4%,105.9%増)

輸入差止点数では,
携帯電話及び付属品 111,942点(構成比12.5%,前年比24.8%増)
衣類が80,690点(同9.0%,同1.2%減)
バッグ類が53,088点(同5.9%,同37.7%減)でした。

輸入差止の代表的商品であったバック類や衣類が減少傾向にあるものの,携帯電話及び付属品が増加しており,照明器具などが電気製品も前年比165.0%増と大幅に増加しており,イヤリングなどの身辺細貨類も同82.7%増となり増加傾向にあります。電気製品や身辺細貨類の増加が意匠権侵害物品の増加として現れているものと思います。

政府は,模倣品の輸入が減少しない状況を踏まえて,輸入差止の効力を2年から4年間に延長すると発表しました。

輸入差止は,日本の9つの税関のいずれかに輸入差止の申立てを行なっておくと,いずれの税関においても模倣品の輸入差止を行ってくれます。

この輸入差止は,一度申し立てを行っておくと2年間効力があり,2年経過後には再度申立てを行なう必要がありました。

ところが,多くの企業が費用等の関係で,改めて輸入差止の申立てを行なうことがなく,これが模倣品の輸入を許すという結果になっていました。

今般の改正により輸入差止の効果が4年に延長されましたので,より効果的に模倣品対策を行うことができるのではないかと期待しています。

輸入差止申立の手続については,こちらを参照してください。

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