弁護士視点で知財ニュース解説

アイフォーンの外観は保護対象にならず

米巡回控訴裁判所は,米アップルが韓国サムスン電子を訴えたスマートフォンの特許権等侵害訴訟において,アップル側が主張した「i Phone(アイフォーン)」の全体的な外観が商標権によって保護される対象には該当しないとの理由により,約9億3000万ドル(約1100億円)の損害賠償を命じた地裁判決の一部を取消し,審理を差戻しました。

報道によると,商標権侵害の判断が取消されることにより,サムスンによる損害賠償額は3億8200万ドル(約460億円)が減額される可能性があるといわれています。

アップルは,四隅を丸めて表面がフラットなアイフォーンの全体的な外観がランハム法(米国商標法)によって保護されるものであると訴えており,地方裁判所においてはアップルの主張が認められましたが,米巡回控訴裁判所は,アイフォーンの形態は技術的に不可避なものであり法的保護を受けることができないとの理由で地方裁判所の判断を覆しました。

日本においては,物の形態を保護する法律として意匠法,商標法,不正競争防止法が存在しますが,いずれの法律においても技術的に見て回避することができない形態(技術的に不可避な形態)については保護の対象とはならない旨の規定が存在します。

仮に,技術的に不可避な形態をも保護することになると物の形態を保護することにより結果的に技術そのものを保護することになります。そして,商標法や不正競争防止法の場合には,事実上半永久的に保護されることになるという不都合が生じます。

意匠法の場合には登録から20年間という保護期間の制限が存在するものの,特許法では求められる進歩性の要件を備えない技術が意匠法によって保護されるという不都合が生じます。

そもそも,技術については,特許法により保護されないもので不正競争防止法上の営業秘密でもないものは,誰も自由に使用することが認められているものです。

これを意匠法,商標法,不正競争防止法により妨害することがないように前記した規定が設けられているわけです。

アメリカにおいても同様の考え方が存在し,今回の米巡回控訴裁判所の判断もこのような考え方の現れであるといえるでしょう。

ページトップへ戻る

スター綜合法律事務所

〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目11番22号
阪神神明ビル 2F

  • JR大阪駅より徒歩11分
  • JR北新地11-41番出口より徒歩8分
  • 地下鉄東梅田7番出口より徒歩10分
  • 地下鉄淀屋橋1番出口より徒歩10分
  • 地下鉄南森町2番出口より徒歩10分
  • JR新大阪駅より車10分