弁護士視点で知財ニュース解説

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店舗デザインの保護(1)

st275.jpg店舗の外装や店内の構造及び内装は,各社が工夫を凝らし,多店舗展開している会社では,統一的なコンセプトのもとデザインが行われているところです。

そして,統一したデザインの店舗を展開することで,店舗の外装や店内の雰囲気により,いずれの会社が経営している店舗であるかということが認識されるようになります。

このような店舗デザインが法律によって保護されるのかということが長く議論されてきたところですが,仮処分の手続であるものの,東京地裁は,平成28年12月19日の決定で「コメダ珈琲」の店舗の外装や店内の構造及び内装が不正競争防止法によって保護されるという決定を下しました。

日本でも,建物の形状を含む店舗の外装が立体商標として登録されています。 例えば,出光のガソリンスタンド,ファミリーマート,ミサワホームなどが,その例です。

しかし,これらの立体商標の特徴は,建物形状に,イメージカラー,会社名あるいはサービ提供にあたっての出所が表示されているといことです。 例えば,出光のガソリンスタンドであれば,会社名とともにロゴが示されて,企業カラーが建物の外観に示されており,他の例でも同様です。

つまり,建物の形状が,いわば「看板」の役割を果たすものとして機能しているだけで,長方形の平面の看板であるか,建物の形状をした看板であるの差に過ぎません。

建物形状をしたものであったとしても看板としての機能が認められる限り,それが商標として登録されることは当然のことであり,何ら目新しいところはありません。

店舗デザインで問題となるのは,店舗の外装や,店内の構造及び内装によって表現された店舗の雰囲気のことであり,既に立体商標として登録が認められているものとは異質なものです。

そして,法的には,店舗の外装や,店内の構造及び内装が,不正競争防止法が定める商品やサービスの出所を表示するものとして認められるかという問題です。

店舗デザインの保護を求めて裁判所に訴えた最初の事例は,平成13年8月16日に千葉地裁松戸支部に仮処分の申し立てを行った「ユニクロ」の事例ではないかと思います。 ユニクロは,当時,ダイエーのプライベートブランドショップである「PAS」の店舗デザインがユニクロの店舗と類似するとして,不正競争防止法に反するとして仮処分の申立てを行いました。

当時,ユニクロが主張したユニクロの店舗デザインは,以下のものでした。

  1. 店舗内外を仕切るため,床から天井までフレームを使ったガラス製ショーウィンドーを設置
  2. 赤の正方形内に白抜きのブロック体アルファベットで横書きにブランド表示したロゴマーク
  3. 壁面に天井近くまである金属製陳列棚を設置
  4. 店舗内中央部に,やや低い金属製陳列棚に隣接して商品ワゴンを設置
  5. 商品を陳列したひな壇とレジカウンターを店舗内入口に設置
  6. 店舗内の柱上部にロゴマークやモデル写真の内照明式パネルを設置
  7. 壁面の金属製陳列棚や柱に,モデル写真やパンツのシルエットを表示した大きなポスター設置
  8. 各商品の色数を多くし,また色ごとの品ぞろえを充実させ,視覚的な効果を高める
  9. 赤字に白抜きの文字や数字で価格を表示
  10. 床は明るい木目調

この事案の特徴は,専ら店舗内部の構成によって特定されている点です。 これは,おそらく,ダイエーの「PAS」がダイエーの店舗内のみで展開していたことから,共通点を抽出するにあたり,店舗内部の特徴しか問題にすることができなかったのではないかと想像しています。

また,店舗内の特徴が非常に抽象化されており,言葉による特定では店舗をイメージすることが非常に困難ですが,これは,ダイエーの「PAS」との類似点のみを抽出したことの結果であると思います。

不正競争防止法の出所表示と認めてもらうためには,何が出所表示に該当するのかという「特定性」が問題となりますが,上記した店舗内の特定により出所表示としての特定性が満たされているのかという問題があります。 また,出所表示として機能する限りにおいては,他の店舗と区別ができる「識別性」を備えている必要がありますが,ダイエーの「PAS」との共通点を抽出した上記店舗の特徴に「識別性」が備わっているかについても疑問が残るところです。

この仮処分申立ては,和解で解決したことから,裁判所がどのような評価を行っていたのか確認する方法がありませんが,おそらく,裁判所は,ユニクロの店舗内部の構造や内装に不正競争防止法の出所表示性を認めなかったのではないかと思います。

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