弁護士視点で知財ニュース解説

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IoT時代の商品デザイン(2)

cont_img_27.jpg価値創出サイクルを対象としたデザインは,モノの形態を提供するというものからユーザーの行動をかたちづくるものへ変化します。

そして,情報が氾濫し,ユーザー自身で選択することが困難な状況で,デザインは,ユーザーの活動をシンプルなものにすること,ユーザーに多くの選択肢を提供することが志向されます。

その過程で,価値創出サイクルを構成する,情報収集のための技術(センサの技術,ネットワークの技術), 情報蓄積のための技術(メモリに関する技術),情報解析の技術(処理アルゴリズム),情報処理の技術(プロセッサー等の技術)について,各技術が克服すべき新たな課題を提供することになるでしょう。

また,デザイナーは,価値創出サイクルを介してユーザーと対話し,新たなユーザーの行動を提案していくことになります。

デザイナーは,価値創出サイクルを対象としたデザインにおいて,ビジネスアーキテクチャーとしての側面を有し,いわば「総指揮者」としての役割を果たすようになります。

この結果,今まで異質の存在として理解されてきたデザインと技術とデザインの境界を曖昧なものにしていくことが想像されます。

今までの整理では,技術は,前提となる技術があり,いわば階段を一段,一段登っていくように進歩すると言われ,デザインは,公知のデザインを参考にするものの,技術のように階段を登っていうようなものではないと言われていました。
しかし,今後は,そのような技術とデザインの関係も見直されることになるのではないでしょうか。

それでは,価値創出サイクルを生み出すデザイナーの知的活動の成果というものが法律によって保護することができるのか検討してみましょう。


現在の法律では,特許法により発明が,意匠法により意匠が,著作権法により著作物が保護されています。
特許法では,発明とは,「自然法則を利用した技術的思想のうち高度なものをいう」と定義されており,プログラムも発明に含まれると規定されています。

意匠法では,意匠とは,「物品の形状,模様,若しくは色彩又はこれらの結合であって,視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されており,「物品の操作の用に供される画像であって,当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるもの」(グラフィックインターフェース)が含まれると規定されています。

ただし,意匠法で保護されるグラフィックインターフェースは,物品が機能を発揮できる状態にするものに限られ,オペレーションシステムやアプリケーションソフトなどの操作画面,アイコン,ウェブページの操作画面は含みません。

著作権法では,著作物とは,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されており,プログラムも著作物に含まれると規定されています。

なお,不正競争防止法では,秘密として管理された技術情報やデータ,投下資本の優先回収を認めなければならない商品の形態(既存の商品にはなく,その開発に時間と労力が費やされた商品の形態)については保護されており,電磁的方法により管理され,第三者に提供されている相当量のデータ(ビッグデータ)については,今後,保護される予定になっています。

おおまかに分類すると,価値創出サイクルを構成するもののうち,情報収集のための技術, 情蓄積のための技術,情報処理の技術に関しては特許法により,情報解析の技術に関しては特許法及び著作権法により,端末の形態に関しては意匠法により保護され,秘密として管理された技術情報やデータや一部の商品形態については不正競争防止法により保護されます。

なお,端末の形態については,端末の用途とは離れて独自に鑑賞の足りうるものについては,著作権法により保護される可能性がありますが,通常の場合には,このような端末の形態を考えることができないと思いますので,著作権法による保護は非常に限られたものになると考えておいてよいでしょう。

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