弁護士視点で知財ニュース解説

Google Books の著作権問題 和解成立

図書館の蔵書を電子化してGoogle Booksに登録するプロジェクト「Google Books Library Project」は著作権侵害に当たるとして,全米写真家協会(ASMP)など複数の団体がGoogle に対して著作権侵害に基づく訴訟を提起していた事件について,Googleは,現地時間9月5日,ASMPなどとの間で和解が成立したと発表しました。

なお,和解の詳細な内容は公表されていませんが,Googleは,「著作権保有者を守る非営利団体PLUS Coalitionへの資金援助を含むすべての関係者に利する和解に到達できたことを両者は嬉しく思っている」と発表しています。

Googleは,Google Booksに関する米作家団体Authors Guildとの裁判を現在も継続中であり,今回の和解はAuthors Guildの裁判には影響しないと説明しています。

電子書籍は,膨大な書籍を小さな端末で,通信可能な環境にある限りどこにいて閲覧できるというメリットがあります。

また,電子書籍は,今回問題となった写真だけでなく,動画,音声なども簡単に挿入できるというメリットもあります。

しかし,電子書籍を作成するにあたっては,原著作物の著作者や著作権者の承認,写真や動画,音声を使用する場合には,それぞれの著作者や著作権者の承認を得ておく必要があります。

そして,承認を得るにあたって,著作者や著作権者の特定ができたとしても,これらの人たちへの接触が不可能であるとか,あるいは著作者や著作権者が亡くなっている場合には,これらの相続人の承認を得る必要があるのですが,その相続人と連絡をとることができない,あるいは全ての相続人の同意が得られないなど書籍を電子書籍化するにあたっては多くの問題が存在します。

さらに,通常の書籍の場合ですと,著作物を複製する権利を有する者(通常は著作権者)は,出版権を設定することができ,出版権の設定受けた者は,出版権者として,著作権者とは別に,著作権侵害に対して差止請求権や損害賠償請求権が認められています。

出版をする者は,費用と労力を費やし,またリスクを背負って出版を行うため,出版をする者にも著作権者とは別に保護する必要があるため,著作権法により出版権者に関する規定が存在するのです。

ところが,電子書籍の場合には,著作権法の改正が追い付かず,現在においても出版権の設定が認められていない状況にあり,電子書籍を製作する者の保護が十分ではありませんでした。

なお,この問題は,著作権法が改正され,平成27年1月より,電子書籍に対しても一定の要件で出版権が認められるようになりました。

このように電子書籍には,原著作物の著作権者との関係,電子書籍を製作する者の保護の欠如など様々な問題が存在します。

しかし,電子書籍は,経済的あるいは社会的理由により知識が偏在している現在の状況を打開する非常に重要なツールです。

電子書籍を製作する際のルール作りや電子書籍を製作する者の保護に関する法整備を早急に進める必要があります。

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