弁護士視点で知財ニュース解説

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台湾で不正B-CAS摘発

台湾警察当局は,平成26年8月13日,日本の衛星放送を全て無料で見られるよう不正改造した「B-CAS(ビーキャス)カード」をインターネット経由で日本向けに販売したとして,著作権法違反の疑いで台湾人の男2人を逮捕し,不正カード1万枚あまり,カードリーダーなどを押収したと発表しました。

台湾の警察当局によると,2人は台湾で不正カードを作成,「BLACKCAS社」名の日本語サイトを通じ平成24年以降,約2万枚の不正カードを1枚約1万?約5万円で販売していたようで,これにより日本の衛星放送会社が被った損額は約1700億円に上ると推計されているようです。

衛生放送やケーブルテレビには,放送される信号にスクランブルを掛けておき,対価を支払う者に限って復号化装置や複合鍵を渡すことにより閲覧を可能にするシステムが採用されています。

今回の不正カードは,このようなシステムを突破する行為であり,日本では不正競争防止法2条1項10号により規制されています。

そして,このような行為は,民事的には販売の差止め,不正カードの廃棄,損害賠償の対象となり,刑事的にも5年以下の懲役,500万円以下の罰金,あるいはその両方の刑罰が課せられることになります。

また,不正に視聴する行為だけではなく,映像や音楽のコピー制限,あるいはコピーの回数が制限されているものを技術的に回避し,コピーを可能とする,あるいは回数の制限なくコピーを可能にする行為が存在します。

このような行為も不正競争防止法2条1項12号により規制されており,同項11号と同一の民事的,刑事的制裁が加えられることになります。

そして,コピー制限を回避して影像や音楽を複製する行為は,著作権法においても規制の対象となっており,私的な目的で視聴するためのものであったとしても著作権侵害になり,民事上,刑事上の制裁が加えられることになります。

なお,今回の不正カードの提供については,著作権法には何らの規定も設けられておらず,この点が台湾の著作権法との相違といえます。

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