日本の知的財産権は各種知的財産法によって保護されていますが、知的財産法の効力は日本国内にしか及びません。つまり、日本国外における知的財産権の侵害は、当該国で権利の登録等を行っていない限り止めることができません。
外国での訴訟は非常に困難
日本国だけでなく、知的財産権が侵害されている国でも権利を有していれば、当該国で侵害を止めることができます。 しかし、大企業であれば国外において弁護士を選任し、当該国で訴訟を行うこともできますが、中堅規模や小規模の企業では、費用面や能力面において国外で訴訟を行うことは非常に困難です。
どの国でもそうですが、外国の依頼者が訴訟をすることの障壁は思いのほか高いと考えてください。
日本での水際予防が有効
国外で製造された知的財産権侵害商品が日本国内で流通することを、水際で防止することができます。それが税関に対して行う輸入差止申立です。
日本の知的財産法に違反する商品等を輸入する行為は関税法により禁止されています。そして、税関において知的財産法に違反する商品を発見されると、輸入が差止められます。
輸入差止は慎重に判断される
輸入差止の効力は非常に強力なものです。輸入者としては、事実上侵害商品を廃棄せざるを得なくなります。
また、種苗法に反する農作物などについては、輸入手続を行うことができず、コンテナ内で食用に耐えれなくなります。
ですから、税関における輸入差止の手続は、裁判に似た慎重な手続が行われ、輸入者にも十分に反論を行う機会が与えられています。
しかし、海外模倣品の水際予防は絶大な効果をもっていますので、この制度を使わない手はありません。