次の表を見てください。
この表は、家庭裁判所に申し立てられた遺産分割調停の件数と相続人の数を表しています。
この表から理解できることは、相続人の数が減っているにもかかわらず、相続に関する争いが増加しているということです。
2015年には団塊の世代が全て75歳に達し、相続に関する争いが増加するものと予測されています。
相続に関する争いが増加する傾向については様々な要因がありますが、最も大きな原因は相続人の権利意識の高まりにあるのではないかと考えています。
昔であれば、長男が多く相続し、嫁いだ女性は、相続について遠慮をするというのが一般的でした。
ところが、このような昔の考えのままで相続について話し合いを行うと争いになる可能性が高くなります。
また、法律に定められた割合で遺産を分けると、「家業を継いで苦労をした」、「お父さんやお母さんを献身的に介護してきた」といった相続前の貢献を無視しているという不満がでることがあります。
他方で、「高額な学費の負担をしてもらっていた」、「マイホームを購入するときに親に多額の資金を出してもらっていた」、「結婚式のときに多額の資金を出してもらっていた」というような、相続の前に受けた利益を無視しているという不満がでることもあります。
このように、昔の考えた方に基づいて遺産を分割していこうとすると高い確率で争いに発展する可能性が高くなりますし、法律の基準にしたがって遺産を分割していこうとしても一部から不満が出て争いに発展することもあります。