譲渡人の破産手続開始決定
債務者が譲受人からの請求を拒むことができるということは,譲受人が,債務者から弁済を受けた譲渡人から支払いを受けることが想定されています。
ところが,譲渡人が破産手続開始の決定を受けた場合,譲受人は,譲渡人から回収することができないリスクを抱えることになります。
そこで,債権の全額を譲受けた譲受人は,譲渡人について破産手続開始の決定があったとき,債権譲渡の第三者対抗要件を備えている場合,譲渡制限特約について悪意,重過失であっても,債務者に対して支払金額の全額に相当する金銭を供託するように求めることができるようになりました(466条の3)。
なお,民事再生手続や会社更生手続が開始された場合は,これらの手続が開始された後に債務者から譲渡人に支払われた金銭についての譲受人の譲渡人に対する返還請求権は,共益債権として保護されると考えられたため,譲受人が債務者に供託請求を行うことができるのは,譲渡人が破産開始手続の決定を受けた場合に限定されています。