民法が改正されたことをご存知ですか？　新しい民法は2020年4月1日から施行されます。

民法が制定されてから約120年経過しましたが，これまで民法が大幅に改正されるということはありませんでした。しかし，120年前と現在では，社会や経済をとりまく環境が激減しており，取引の内容が複雑になり，取引量も劇的に増加した上に，情報伝達の方法が飛躍に発展し，制定当時の民法が，これらの状況に対応できているとは言えない状況にありました。

時代の変遷とともに，裁判所では時代に即した民法の解釈が行われ，蓄積された判例や裁判例は膨大になっており，民法を理解するためには条文の解釈だけではなく，蓄積された膨大な判例や裁判例の理解が必要とされていました。ただ，裁判所による民法の解釈にも限界があり，法改正によらなければ対応できないところもあり，それが現実の社会と法とのギャップを生み出していました。

以上の理由から，今回民法の大改正が行われたのですが，改正のポイントは，現在の社会，経済への対応と国民に対して分かりやすい法律とすることです。

売買契約，請負契約，賃貸借契約，消費貸借契約等，取引社会の基礎となる契約に関する規定が大幅に改正されました。

また，判例や確立された通説的見解が条文として明確化し，条文を参照することで規定された内容が理解できるように努められています。

今回の民法改正は，事業者だけでなく一般の方に与える影響が非常に大きいため，新しい民法が施行されまでに十分に準備しておく必要があります。今回の民法改正において特に重要であると思われる部分を，なるべく簡潔に，かつ平易にまとめてみましたので参考にしてください。

なお，新しい民法の解釈は，これから盛んに行われいくでしょうし，既に大きく異なる考え方が対立しているところもありますので，今後の議論についても注視していく必要があります。