多重債務問題
多重債務問題

破産に関するQ&A〈自己破産の概要〉

Q.自己破産はどんな制度ですか?

自己破産をすると、生活に必要なものを除外した財産は失いますが、裁判所によって支払不能と認められ、免責不許可事由もなければ、全ての債務の支払義務が免除されるので、債務整理の最後の手段ともいえます。

Q.債務整理の中で自己破産を選択できるのはどのような場合ですか?

自己破産の申立をするためには、「支払不能」であることが必要です。
「支払不能」とは、現在の収入・財産によっては、将来借金を返済することが著しく困難である状況を指します。
明確な基準はなく、ケースバイケースで判断されます。

Q.自己破産・免責は何度でも認められますか?

以前に自己破産を行っている場合、免責決定が確定した日から7年以内は,原則として免責は認められません。
以前の自己破産申立の際の債務発生の事情が、今回と全く異なる場合には、再度の免責許可の決定がなされる可能性もあり得ますが、あくまでも自己破産は1回限りの切り札と考えておくべきです。

Q.自己破産をすると借金はすべてなくなりますか?

自己破産をして免責決定が確定すれば、原則として全ての借金が法的になくなります。
ただし、税金や交通違反の罰金など、自己破産をしても例外的に免責されない債務もあります。

Q.自己破産には、どのような手続がありますか?

自己破産の手続には、同時廃止手続と管財手続の2つの手続があります。
自己破産は、債務者の財産を処分して債権者に分配する代わりに、足らない分は全て免除してもらう手続です。
債務者に不動産などの財産がある場合には、破産手続開始と同時に破産管財人が選任されて、財産と債務が確定され、財産の換価と債権者への配当が行われます。これが管財手続です。
st088.jpgしかし、多重債務者には通常換価できるだけの財産がないのが現状です。 この場合に財産を換価・配分する破産手続は必要なく、そのために破産管財人を選任する必要もありません。
そこでこの場合、免責手続を行うために、一応破産手続開始決定は行うものの、同時に以後の破産手続を廃止する決定を行い、免責手続だけを進めます。これが同時廃止手続です。

Q.同時廃止手続となるか,管財手続となるかはどのように判断されますか?

同時廃止手続となるか管財手続となるかは裁判所にもよりますが、大阪地方裁判所では、同時廃止事件として申立てた場合には、原則として同時廃止手続となります。

Q.同時廃止事件として申立てた場合,管財手続へ移行されることはありますか?
あります。

大阪地方裁判所では、管財手続への移行が検討されるのは以下の類型の場合ですが、この場合でも、管財手続とする必要があると認められるもの以外については、「同時廃止のための按分弁済」をすることによって、同時廃止手続とすることが認められています。

個人事業型

申立人が個人事業を営んでいる場合です。ただし、個人事業者であっても、負債額、事業内容、営業していた時期及び期間、申立代理人による調査の状況、債権者の意向などによっては、同時廃止事件として進行することもあります。

資産等調査型

破産に至る経緯や資産内容などに疑義があって、管財人の調査によって疑問点を解明しなければならない場合です。
特に、保証債務や住宅ローンを除いた債務が3,000万円以上ある場合には、類型的に資産調査の必要があるとされています。

否認対象行為調査型

一部の債権者のみを有利に扱うような返済(これを偏波弁済といいます。)があり、破産管財人が相手に対し返還を請求する必要がある場合です。

法人代表者型・法人併存型

法人の代表者については、個人の財産と法人の財産の混同が生じやすいため、管財人の調査が必要となります。

免責観察型

ギャンブルや浪費などのために借入をし、形式的に免責不許可事由が存在するような場合に、免責が相当かどうかを調査する必要がある場合がこれにあたります。

不当利得型

過払金が発生しており、その回収のために管財手続とされる場合です。
過払金の額面額の合計が30万円未満の場合には過払金を回収する必要なく同時廃止ができますが、30万円以上の場合には、管財手続に移行するか、按分弁済をしない限り、過払金を申立人が回収する必要があります。
過払金を申立人が回収した場合、費用を差し引いた残額が20万円未満の場合には按分弁済の必要はありませんが、20万円以上100万円以下の場合には、按分弁済によって同時廃止手続が可能です。
残額が100万円を超える場合には管財手続に移行することになります。

Q.「同時廃止のための按分弁済」とはどんな手続ですか?

同時廃止手続を行うためには、破産手続開始決定時に、破産手続を進めるに足りるだけの財産がないと裁判所に認められる必要があります。
そこで、解約返戻金付の保険や自動車など、ある程度の財産を有するけれども、同時廃止手続のまま進めたい場合、これを債権額の割合に応じて債権者に平等に支払って財産を減らし、同時廃止として手続を進めることが認められています。
これを同時廃止のための按分弁済と呼びます。
実務上は、20万円以内の財産か否かが同時廃止と管財手続の基準の一つとされています。
そのため、20万円以上の財産を有するが、管財手続とするよりも、同時廃止手続で進めたい場合には、その価値に見合う金額を按分弁済することになります。
同時廃止事件とした上で按分弁済をするのか、原則どおり破産管財人を選任して自由財産の拡張手続をした上で破産手続を進めるのかは、その財産の種類や額等により、申立人の意向を考慮した上で、最終的には裁判所が判断します。

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