遺産分割・遺言
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配偶者への居住用不動産の贈与

相続人が被相続人から生前贈与などにより,特別な利益を受けた場合,他の相続人と法定相続分に従って遺産分割を行うと不公平になります。
そこで,民法では,特別な利益(特別受益)を受けた相続人の遺産取得分を減らすことで,相続人間の実質的な公平が図られています。

ただし,被相続人が特別受益を前提とした遺産分割を行わなくてよいという意思表示(持戻し免除の意思表示)を行っていた場合には,特別受益を考慮せずに遺産分割を行うことができます。

このような特別受益のルールは,亡くなられた方が配偶者に対して贈与を行っていた場合にも適用され,亡くなられた方が,配偶者の住居を確保しておくために,予め配偶者に自宅を贈与していた場合にも適用されますので,亡くなられた方が,持戻し免除の意思表示を行っていない限り,贈与された自宅の評価額分を特別に受益したことを前提に遺産分割が行われることになります。

この結果,配偶者が預金や株などの金融資産を少ししか相続することがでず,将来の生活が不安定になるおそれがあります。
また,亡くなられた方は,長年苦労をともにしてきた配偶者であるからこそ住居を贈与したにもかかわらず,特別受益の制度により,遺産分割時に配偶者がトータルで取得できる評価金額が変わりませんでした。

配偶者への居住用不動産の贈与1

相続財産
居住用不動産(1/2)2000万
金融資産       2000万

遺産分割時,贈与した居住用不動産(1/2)も相続財産に持戻しされるため,相続財産は6000万円,配偶者の相続分は3000万となり,配偶者が居住用不動産を相続する場合,1000万の清算が必要になります。

そこで,婚姻期間が20年以上である配偶者に居住用不動産を遺贈又は贈与した場合については,持戻し免除の意思表示があると推定され,証拠により,持戻し免除の意思が否定されない限り,特別受益を受けたものとして取り扱わなくてよいことになります。

配偶者への居住用不動産の贈与2

相続財産
居住用不動産(1/2)2000万
金融資産       2000万

遺産分割時,贈与した居住用不動産(1/2)が相続財産に持戻しされないため,相続財産は4000万円となり,配偶者居住用不動産を相続しても清算が不要になる

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