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新築ワンルームマンション投資のリスク

st224.jpg最近,ワンルームマンション投資で返済に行き詰っている方の相談を受けるようになりました。

今から10年程前にも同様の相談を何件も受けることがあり,購入したマンションを売却した上で,破産手続を行う例がありました。

当時も最近も,返済に苦しんでおられる方の特徴は,共通しています。

  • 購入した投資用マンションが新築であること
  • 複数の投資用マンションを購入していること
  • 自己資金が0円あるいは非常に少額であること
  • 金融機関からではなく信販会社から借入れを行っていること

購入したワンルームマンションが新築である場合,立地によりますが,大阪市内であれば価格が1,700万円から2,000円,2,000万円を大きく上回っているものも少なくありません。

ところが,ワンルームマンションの場合,新築であっても,6万円から8万円程度が一般的で,10万円を超える賃料を設置することができるワンルームマンションは,専有面積が非常に大きく主要駅に近い等の特殊な物件に限られます。

新築のマンションに住む方の選択肢としては,住宅ローンを組んで購入するか賃借するかのいずれかです。

仮に,2000万円のマンションを,金利0.9%,ローン期間30年に設定した場合の月々の返済額は元利均等で6万円あまりです。

投資用マンションを賃貸する場合,住宅ローンを組んだ場合の月々の支払い金額を大きく上回る金額で賃料を設定することなどできないことを理解しておかなければなりません。

1,700万円から2,000万円で購入したワンルームマンションを月額6万円から8万円で賃貸すると投資利回は5%をきります。

他方で,金融機関からではなく信販会社から融資を受けた場合,金利は3%程度であることが一般的です。

すると,利回と金利の差は2%をきります。

ここで,「2%をきるものの確実にお小遣いを稼ぐことができる。」と考えてはいけません。

まず,マンションを取得すると6ヶ月から1年後に不動産取得税を支払わなければならず,2,000万円程度のマンションの取得税は80万円程度になります。

これだけで,年間の賃料収入のほとんど吹き飛ぶことになります。

また,マンションには共益費の負担があり,それは購入した方が負担しなければならず,固定資産税の負担もあります。

取得翌年度であっても,共益費と固定資産税の負担だけで,下手をすると逆ザヤになる場合があります。

さらに,購入直後に入居された方が退去された場合,新たに賃貸に出すには,清掃や,場合によっては床面,壁面等の修理を行わなければならず,これらの費用も考えておかなければなりません。

改めて賃貸に出すときには,既に新築とはいえないため新築時と同じ賃料で貸すことができない可能性もあり,築年数が経過すればするほど設定する賃料を減額していかなければならないということも考えておかなければなりません。

マンション投資が逆ザヤになり持ちこたえることができなければ,売却せざるを得なくなるのですが,1,700万円から2,000万円程度で購入したマンションが,築数年で,1,000万円を大きく割り込むというのが一般的です。

投資用の中古マンションを購入される方は,新築で購入される方と全く逆の発想をもっており,利回りに基づいて購入するマンションの価格を決定します。

仮に,月額賃料が7万円の物件であるならば年間賃料が84万円,期待利回を10%に設定すれば840万円,9%に設定すれば935万点程度,8%に設定すれば1,050万円といった具合です。

実際には,将来の賃料収入減少を見越して購入することになりますので,月額賃料7万円程度の物件であれば900万円で購入すると,少し怖いなと考えるのが中古で投資用マンションを購入する方の心理です。

この結果,購入から数年で売却すると残ローンの全額を支払うことができず,借金だけが残ることになるのです。

新築の投資用ワンルームマンションを複数購入して数年で売却すると,多額の残ローンを抱え込むことになるのです。

新築ワンルームマンションの投資を進められ,ローン提供会社が金利の高い信販会社である場合,その理由を考えなければなりません。

では,なぜ,低利で融資する銀行などから融資を受けることができないのでしょうか。

それを理解するためには,お金を貸す側の事情を理解する必要があります。

低利でお金を貸す場合,貸したお金の回収率が高くなければなりません。

ワンルームマンションの賃貸経営が高い確率で継続可能と判断できなければ,お金を貸すことができないのです。

つまり,低利でお金を借りることができないということは,貸す側から,ワンルームマンションの賃貸経営が永続的に成り立たたない可能性が高いと判断されていることを意味しているのです。

新築マンション投資の勧誘が活発になるのは,住むことを目的とした方に売ることが困難になっているからだと思います。

供給が需要を上回って売れ残りのマンションが沢山あるから,投資用の物件として販売攻勢をかけるのだと思います。

新築マンションの投資勧誘は,一定の周期で活発になるのですが,それは,新築マンションの建築ラッシュの周期と重なるのでしょう。

勧誘の方法は,今も昔も変わりません。 「

税金対策」,「保険代わり」,「将来の年金代わり」等です。

マンション投資を行って逆ザヤになれば損失が発生するわけですから,納める税金は少なくなりますが,継続することができませんし,逆ザヤの物件を所有していて保険や年金の代わりになることもあり得ません。

逆ザヤが原因で,今までの生活を維持することすらできなくなる可能性すらあるのです。

勧誘の際には,タックスプラン,融資を受けることができるか確認するため等と称して,あなたの所得証明の提出を求めてきます。

所得証明を交付してしまうと勧誘が執拗になり,断ることが難しくなります。

新築マンションの投資を勧誘されとき,ここに記載されていることを思い返してください。

それでも,あなたは,新築マンション投資をしますか?

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