離婚をする際には親権者を誰にするのか決定しなければなりません。そして、非常に多くの事例では母親が親権者として指定されています。
このような現状を前提にすると親権の獲得は母親が有利という答えも間違ってはいないといえます。
ただし、それは、母親がお子さんを産み、夫に比べて養育に携わる時間が非常に長い、別居後も母親の下でお子さんが養育されていることなどが前提になっているからです。
お子さんが中高生である場合にはお子さんの意見が重要な要素となりますが、小学生くらいまでであれば、いずれの親許で養育されるのが適切かという客観的な状況により判断されてしまいます。
そして、経験的にみて最も重要なことは、別居時に、いずれの親許で育てられているかという点です。
親権について争っている場合、裁判所の調査官がお子さんの両親、場合によって祖父母、保育園の保育士や小学校の教師、お子さんとの面接を行った上で報告書を作成し、それに基づいて裁判官が判断することになります。
そして、このような調査は、裁判所に申立てを行なった上で、調査の計画が立てられた上で行われますので、ときには6ヶ月程度の時間を要することもあります。
その間も、お子さんは、一方の親のもとで養育されているわけですから、そのお子さんにとって養育環境が形成されているわけです。
そして、裁判所は、現に存在する養育環境に問題があると判断しない限り、敢えてお子さんの養育環境に劇的な変化を加えること(お子さんを養育している親許から切り離して、他方の親に引き渡すこと)を避けようとする傾向にあります。
なお、親権の決定にあたり、お子さんが転校させられるという場合には、裁判所は慎重にならざるを得ません。
この結果、ある程度の期間お子さんを引き取って養育している親が親権を獲得するにあたり有利になるということになるのです。
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スター綜合法律事務所「離婚について」
弁護士 冨宅恵