賃借人の原状回復義務
賃借人の原状回復義務については,通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗,賃借物の経年変化を除く部分に限定されること,賃借人の責任に基づかずに発生したものが除かれることが明記されました(621条)。
賃借人は,賃借物を受け取った後に賃借物に付属させた物について,付属物を分離することができない場合や付属物の分離に過分の費用を要する場合を除いて,賃貸借が終了したときに収去する義務があります(622条・599条1項)。
付属物を分離することができない等により賃借人が収去義務を負わない場合であっても,それにより賃貸人に損害が発生した場合には,賃借人は,賃貸人に対して損害賠償義務を負うことになります(412条の2第1項)。
なお,賃借人の収去義務は,付属物が賃借物と一体となり賃貸人の所有物であると評価される場合にも追うものであると解釈されています。
原状回復義務については,契約において民法の規定と異なる定めを行うことができますが,消費者との契約においては,不当条項として消費者契約法に基づき無効となる可能性があります。