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自転車保険 保険契約急増

st266.jpg平成27年11月2日付日経新聞において,自転車が加害者となる事故における損害賠償を対象とした任意保険の契約件数が急増しているという内容の記事が紹介されています。

自転車対歩行者の事故が急増していること,自転車による事故も自動車による事故と同一の基準で損害賠償義務が発生すること,自転車に乗っていて事故を起こした方に対して多額の損害賠償を命じる判決が散見されることについては,2013年3月6日付の「ダイヤモンドオンライ」において指摘していたところです。

ダイヤモンドオンラインの記事では約5000万円の損害賠償を命じられた事例を紹介していましたが,日経新聞では,さらに高額の約9500万円の損害賠償を命じられた事例が紹介されています。

当事務所では,交通事故の損害賠償額を自動で算定するソフトを無料で提供しています。
例えば,年収360万円の方が,6か月通院(入院なし)し,むち打ちの後遺症(後遺症等級14級あるいは12級)を負った場合について損害賠償額の算定をしてみてください。多くの方が,賠償しなければならない金額を見て驚くだろうと思います。

平成26年の自転車事故の発生件数は約11万件で,減少傾向にある交通事故件数の約2割にも及ぶようになっています。

このような傾向に先立ってダイヤモンドオンラインの記事では,自転車を利用される方に対して任意保険に加入するように進めておりました。


日経新聞の記事では,2014年度の自転車を対象とする任意保険新規契約数は計20万件程度だったが,2015年度には前年約2.4倍の47万件程度に増える見通しであると報じられています。

自転車を対象とする保険は,三井住友海上火災保険や損害保険ジャパン日本興亜、東京海上日動火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険子会社のau損害保険が取り扱っており,自転車を利用する方への周知度が高まっていることが新規契約増加の要因になっているのでしょうが,都道府県によっては任意保険の契約が義務づけられていることも新規契約の増加原因になっています。

兵庫県では,この10月に任意保険の契約が義務付けられ,東京都,埼玉県,京都府,愛媛県においては義務ではないものの努力義務として条例を定めています。また,滋賀県,大阪市,名古屋市,横浜市,千葉市においても条例制定に向けて準備が進められているところです。

自転車の任意保険契約件数が急増しているといっても,国内で利用されている自転車の数が7000万台から8000万台といわれていることから,全体の2割程度にとどまっています。

自転車によってけがをした場合に保険が適用されず,加害者に損害賠償を行う能力がない場合に泣き寝入りになるのは被害者です。

自転車保険については,保険会社,自転車販売業者,行政が一体となって,より一層の普及が望まれるところです。

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