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【シャープ】減資・増資を踏まえた経営計画

シャープは、平成27年5月14日、平成27年から平成28年の中期経営計画を発表しました。

平成27年3月末時点では、

売 上 2兆7,862億円
営業利益 -480億円
経常利益 -965億円
当期純利益 -2,223億円

これを受けてシャープは3か年の経営計画を立案し、経営計画の一つ柱として財務基盤の強化を掲げています。
財務基盤の強化の前提として話題になっている大幅な減資が行われることになります。
経営計画では、平成27年3月31日時点で1,218億円の資本金を、5月の定時総会の承認を経て6月30日に5億円に減資し、減資された1,213億円については剰余金に組み込まれることになります。

その後、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行にそれぞれ1,000億円の優先株、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズに250億円の優先株を発行し、最終的には資本金2,255億円の会社となります。

ジャパン・インダストリアル・ソリューションズは、新たに250億円を出資することで優先株を引受けることになりますが、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は、新たに出資を行うのではなく、それぞれの銀行がシャープに対して行った融資の返還請求権を資本に組込むことになります。
ですから、今回の2,250億円の増資で新たな資金が投入されるのは250億円のみで、2,000億円についてはシャープが融資金を返還しなくてよいということになるわけです。

貸付金を資本に切り替えることを「デット・エクイティー・スワップ」といい、省略して「DES」と呼ばれており、事業を再生する際に行われる手法です。

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金融機関からみれば、本来返済されるべきお金を資本に組入れ返済を免れさせることになりますので金融支援の一つになります。

そして、投資会社から新たに250億円の返済を伴わない資金が投入されることになるわけですから、シャープは、当期損失の2,223億円を上回る2,250億円の資本性資金を用立てたことになるわけです。

多くの方が勘違いされているようですが、1,218億円の資本金を5億円に減資したとしても株式数が減るわけでなく会社財産が実質的に目減りするわけではないので株式の価格が大幅に減少するわけでありません。これが、「減資は、株価との関係で中立である。」と言われるゆえんです。

ただし、資本金が5億円になった後に2,250億円の増資が行われることで、増資前の株式は大幅に価値が低下することになります。

st234.jpgさらに、多くの株主が保有している株式は普通株式であるのに対し、今回発行される2,250億円の株式は優先株であり、普通株式を保有する株主より有利な条件の株式を大量に取得することになります。
優先株の代表的なものは、配当が普通株式より優先的に行われる、会社を清算する際に優先的に支払いを受けることができる等があります。
今回発行される優先株が、どのような内容の優先株であるのかについては把握していませんが、多くの普通株式を保有している株主より経済的に優先的な条件が付されるわけですから、その意味でも既存の株式の価値が低下するわけです。

今回の減資ですが、多額の支援を受けるにあたり株主責任を求めることを意味しています。
株主は、出資した金額(株式を購入した金額)を限度として責任を負っているのですが、事業再生の際に債権者や第三者から支援を受けるにあたり、株主に一定の責任をとることが求められます。

さらにドラスティックな事業再生の必要がある場合には100%減資を行った上で、支援を行った者のみが株主となる場合もあります。
この場合には、文字通り既存の株式は「紙切れ」と化し、株主は出資額(株式を購入した代金)全額の責任を求められ、新たに株主になるためには新たな出資が必要になります。

他方、シャープの場合ですとシャープの業績が改善されると既存の株主もその利益を享受できる立場にあるため、100%減資とは全く意味が異なります。

シャープの中期経営計画では、平成27年度は800億円の営業利益を見込んだ内容となっています。

個人的には、シャープが早期に事業を再生できることを期待しています。

弁護士 冨宅恵

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