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コーポレートガバナンス

守りのガバナンス・攻めのガバナンス

守りのガバナンス

企業が不祥事などをいかに防ぐかという「守りのガバナンス」については従前より議論されてきたところです。
「守りのガバナンス」には、有事を未然に防止するリスクマネジメントと既発生の有事に対処するクライシスマネジメントの二つに分けることができます。
「守りのガバナンス」においては、内部統制システムの構築が非常に重要となり、内部統制システムが構築されていないことを知りながら放置していた場合には取締役の監督責任が追及される場合があることに留意する必要があります。
また、リスクマネジメントについては一定の裁量が認められますが、クライシスマネジメントについては裁量の幅が限定されている上に時間な制約も存在するところであり、取締役の監督責任の範囲に違いがあることを理解しておく必要があります。
コーポレートガバナンス・コード「補充原則 4-3の2」においては、コンプライアンスや財務報告に係る内部統制や先を見越したリスク管理体制の整備は、適切なリスクテイクの裏付けとなりうるものであるが、取締役会は、これらの体制の適切な構築や、その運用が有効に行われているか否かの監督に重点を置くべきであり、個別の業務執行に係るコンプライアンスの審査に終始すべきはない。と規定されています。

コーポレートガバナンス・コードにおいて「守りのガバナンス」は、「攻めのガバナンス」を許容するための裏付けになるものと位置付けられています。

攻めのガバナンス

「攻めのガバナンス」とは、株主、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーに対する「責務に関する説明責任を果たすことを含め会社の意思決定の透明性、公正性を担保しつつ、これを前提とした会社の迅速・果断な意思決定」を行っていくことを指しています。
「迅速・果断な意思決定」についても、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出が前提となっており、目先の利益の獲得を目的としたリスクテイクなどではありません。

st250.jpgこの点、コーポレートガバナンス・コード「基本原則5の考え方」においては、上場会社にとっても、株主と平素から対話を行い、具体的な経営戦略や経営計画などに対する理解を得るとともに懸念があれば適切に対応を講じることは、経営の正当性の基盤を強化し、持続的な成長に向けた取組みに邁進する上で極めて有益である。また、一般に、上場会社の経営陣・取締役は、従業員・取引先・金融機関とは日常的に接触し、その意見に触れる機会には恵まれているが、これらのはいずれも賃金債権、貸付債権等の債権者であり、株主と接する機会は限られている。経営陣幹部・取締役が株主との対話を通じてその声に耳を傾けることは、資本提供者の目線からの経営分析や意見を吸収し、持続的な成長に向けた健全な起業家精神を喚起する機会を得る、ということも意味する。と記載されていることも端的に前記したことを示しているものといえます。

ところで、攻めのガバナンスを許容する前提として、経営者には「経営判断の原則」が適用されるということがあります。
ここで「経営判断の原則」とは、

  1. 決定に必要な情報を十分に収集し、リスクを計算に入れていたこと
  2. 取締役会に情報を提供し、十分な議論が行われたこと
  3. 会社の利益になると考えた上での決定であること

上記の要件を満たす場合には、結果として会社に損害を与えた場合であっても取締役が任務懈怠責任を負うことはないという考え方です。
この考え方は、裁判所において確立された考え方であり、会社法の解釈においては当然のこと、コーポレートガバナンス・コードの前提にもなっています。
そして、コーポレートガバナンス・コード「序文7項」においては、本コードには、株主に対する受託者責任やステークホルダーに対する責務を踏まえ、一定の規律を求める記載が含まれているが、これらを会社の事業活動に対する制約と捉えることは適切ではない。むしろ、仮に、会社においてガバナンスに関する機能が十分に働かないような状況が生じれば、経営の意思決定過程の合理性が確保されなくなり、経営陣が、結果責任を問われることを懸念して、自ずとリスク回避的な方向に偏るおそれもある。こうした状況の発生こそが会社としの果断な意思決定や事業活動に対する訴外要因となるものであり、本コードでは、会社に対してカバナンスに関する適切な規律を求めることにより、経営陣をこうした制約から解放し、健全な企業家精神を発揮しつつ経営手腕をふるような環境を整えることを狙いとしている
と規定され、コーポレートガバナンス・コードに基づくガバナンスが、経営判断の原則が適用される素地を形成する、つまり取締役の任務懈怠責任という法的責任の追及を回避するものとなるという考え方が採用されているのです。

このことは、コーポレートガバナンス・コード「基本原則4の考え方」にも端的に現れており、本コードを策定する大きな目的の一つは、上場会社による透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を促すことにあるが、上場会社の意思決定のうちには、外部環境の変化その他の事情により結果として会社に損害を生じさせることとなるものが無いとは言い切れない。その場合、経営陣・取締役が損害賠償責任を負うか否かの判断に際しては、一般的に、その意思決定の時点における意思決定過程の合理性が考慮要素の一つとなるものと考えられるが、本コードには、ここでいう意思決定の過程の合理性を担保することに寄与すると考えられる内容が含まれており、本コードは、上場会社の透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を促す効果をもつこととなるものと期待している。と記載されています。

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