目的物の滅失・損傷
請負の対象となる物を注文者に引渡し後に,請負人,注文者双方の責任によらず目的物が滅失,損傷した場合,注文者は,履行の追完,代金の減額,損害賠償,契約の解除を行うことができなくなります(567条1項1文)。
すなわち,請負人は履行の追完を行う必要がなくなり,注文者は,代金の減額,損害賠償,契約の解除をすることができず,契約で定められた代金を支払うことになります(567条1項2文)。
ただし,注文者が引渡しを拒み,又は引渡しを受けることができない間に,請負人,注文者の責任によらず目的物が滅失,損傷した場合,注文者は,履行の追完,代金の減額,損害賠償,契約の解除を行うことができず,代金を支払う義務を負います(413条の2第2項)。
契約に不適合な物の交付
請負人が契約に不適合な物を引渡した後に目的物が滅失,損傷した場合の規定はありません。
567条は,契約に適合した物を引渡した場合の規定であると解釈するならば,注文者は,注文者は,履行の追完,代金の減額,損害賠償,契約の解除を行うことができることになります。
ただし,契約不適合の程度が軽微な場合に建物の建替えを請求することができるというのであれば,請負人の負担があまりにも大きくなり酷であるため,損害賠償請求のみに制限されるべきと考えます。
契約不適合の物を交付した後,請負人,注文者のいずれの責任によらず,建物が滅失,損傷した場合については,契約において予め定めておくべき事項となります。