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労働条件の不利益変更について

配転や出向を含めて、それ以外の例えば賃金の切り下げなど、労働者の労働条件を不利益に変更する場合にも一定のルールがあります。

(1)原則

労働条件は、労働契約の内容をなし、労働契約は契約である以上、一方当事者の一方的意思では不利益に変更できない
労働条件を労働者の不利益に変更する場合には、労働者と合意を得て、就業規則を変更する方法による(労働契約法9条)
例外として、変更後の就業規則を労働者に周知させて、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉状況その他の就業規則の変更にかかる事情に照らして合理的な場合は、労働者の同意なくして不利益に変更することができる(労働契約法10条)

(2)不利益変更の方法

  1. furieki.jpg組合がない場合→個別に本人の同意を得る
  2. 組合がある場合で組合員の場合→組合と労働協約を締結する
  3. 個別に同意を得られない場合や、組合と労働協約を締結できない場合→就業規則を変更する

(3)就業規則の不利益変更

1.就業規則の変更手続き
→労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴かなければならない(労基法90条1項)
→労働者の意見を記した書面を添付して労基署に届け出なければならない(労基法90条2項)
→労働者に変更した就業規則を周知させなければならない(労基法106条1項)

意見聴取、労基署への届出手続きを欠いた就業規則の効力
→有効(取締規定とみる)

周知義務を果たしていない就業規則の効力
→無効(フジ興産事件、最高裁平成15年10月10日判決、労判861号5頁)

2.不利益変更の合理性
就業規則の不利益変更について、「合理性」が認められる場合に限り、有効となる

合理性判断基準

  • 就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度
  • 使用者側の変更の必要性の内容・程度
  • 変更後の就業規則の内容自体の相当性
  • 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
  • 労働組合等との交渉経緯
  • 他の労働組合または他の従業員の対応
  • 同種事項に関する社会の一般的状況等

を総合考慮して判断する

代表判例
【秋北バス事件】(最高裁昭和43年12月25日判決、判時542号14頁)
「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいつて、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解すべき」

【大曲市農業協同組合事件】(最高裁昭和63年2月16日判決、労判512号7頁)
「当該規則条項が合理的なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであることをいうと解される。特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである。」

【第四銀行事件】(最高裁平成9年2月28日判決、労判710号12頁)
「合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである。」

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