合意すべき内容としては、以下の4つの事項があります。
- 後継者が贈与を受けた株式等を遺留分算定の基礎財産から除外すること
- 後継者が贈与を受けた株式等の評価額を合意時点で固定すること
- 後継者が贈与を受けた株式等以外の財産や非後継者が贈与を受けた財産について遺留分算定基礎財産から除外すること
- 後継者が代表者を辞任した場合や。株式を処分してしまった場合の措置
推定相続人との合意内容は最低限?あるいは?を定めることになります。なお、1.2.についてはいずれか一方のみを合意することもできますし、両方について合意することもできます。また、付随的に合意する事項として3.4.の事項があります。
非後継者である推定相続人から1.や2.について同意を得るためには、非後継者である推定相続人に対して何らかの見返りを与える必要があります。
見返りとしては、後継者から非後継者に対して一定額の金銭を支払う、あるいは、先代代表者の生活や療養看護を行う等が考えられます。
そして、そのような見返りとして付与した財産についても後継者が贈与を受けた株式等を遺留分算定の基礎財産から除外すること、後継者が贈与を受けた株式等の評価額を合意時点で固定することの合意をすることができ、かかる合意がある場合には合意のとおり効力を発生させることができます。
さらに、先代経営者の推定相続人らが、予め協議しておくことにより4の事項を定めることができます。
法律では、非承継者がとるべき措置を定めておらず、推定相続人らが合意書を作成する際に決定することになります。
とりうる方策としては、非承継者による合意解除、一定の違約罰を支払わせるということが考えられます。
また、合意は、口頭による合意では足りず、書面によって合意が必要となります。
この制度は、民法で保障された遺留分について重大な変更を加える制度ですので、推定相続人に慎重な判断を行ってもらうという意味で書面による合意を必要としているのです。