事業承継支援
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【中小企業】【事業承継】事業承継における第三者承継の実務

本日,大阪弁護士会にて「事業承継における第三者承継の実務」というセミナーに参加しました。

日本には385万もの中小企業が存在し,これは全企業の99.7%にも上り,従事する従業員数も2834万人(全雇用の65.9%)になります。

近時,多くの中小企業で,経営者の高齢化による,事業承継の問題が生じています。
背景の要因としては,事業の将来性が乏しい,後継者不足,親族間の相続問題,税負担問題などが存在しており,一方で従業員の雇用や利害関係者の利益を守るために,どのように円滑に事業を継続させるか,ということが課題となっています。

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従来,事業承継は,親族内・社内での承継が主でした。
このため相続税制や遺留分についての民法の特例などが整備されてきましたが,近時,事業の行き詰まりや,後継者不足により,親族内・社内承継が減少し,第三者承継のニーズが高まってきています。
現実には,事業承継が上手く進まない結果,小規模事業者の経営者の引退年齢は平均して70.5歳と高齢化が進む一方,多くの経営者において,後継者や引退後の事業の方向性について定まっていないようです。

他方,第三者に事業を承継させる場合に問題となるのが,事業の売却先確保,保証の引き継ぎや株式に関わる親族との調整などです。

第三者への事業承継を考えたとしても,事業の売却先をどのように探すのかは難しい問題です。概ね年商3億円を超えるような一定規模の企業の場合,金融機関,証券会社,MA専門会社などのマッチング業者に相談を持ち込むことで,売却先候補を探すことができるかも知れません。

もっともこれらのマッチング業者は費用が数千万円に及ぶこともあるなど高額であり,そこまでの費用負担できない企業は,色々と工夫する必要があります。
またマッチング業者は,基本的に売却企業・買収企業の両側から報酬を取ることも多く,売主としては,事業売却にあたり,十分に希望を述べることが難しい場合や,事業価値の評価や取引条件の決定にあたって売主の意向が十分に反映されないことがあり得ます。
このような場合,売主側として,別途弁護士に依頼することで,取引条件を有利に持ち込み,結果的に費用も含めて,より良い事業売却を実現することができる場合もあります。

保証の引き継ぎに関しては,近時,経営者保証ガイドラインが整備され,これらを活用することで,整理できる場合も増えているようです。

株式が親族間に分散されている場合,親族間ですんなりと話がまとまれば良いのですが,株式の譲渡や譲渡価格について争いが生じるような場合は,弁護士を入れることで交渉を進める方法も有効です。

なお近時は,中小機構が所轄する,事業引継ぎ支援事業の活用が進んできており,マッチングや専門家の紹介などを通じて,事業承継の橋渡しも行われているようです。
これらの公的な制度と我々弁護士を上手く活用いただくことで,経営者にも従業員にもハッピーな事業承継を実現できればと,思いを新たにしております。

文責:弁護士 久保陽一

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