対抗買付
支配権の争奪となる場合の対抗買付けについては、以下の要件をみたす場合には公開買付けによらなければならないとされています(金商品取引法27条の2第1項5号)。
- 当該株券等について公開買付けが行われていること
- 発行者以外の者で、株券等所有割合が3分の1を超えている者が
- 当初の公開買付期間内に
- 株券等の総数の5%を超える割合の株券等の買付け等を行う場合
公開買付けが行われている場合に、対抗して支配権を取得しようとする者が市場で買付けを行った場合、公開買付けを行っている者が買付義務を負い、買付条件を開示しているにもかかわらず、対抗者はいつでも買付けを止めることができますし、いくらで何株を取得するのかも全く不明で、公開買付けをする者と対抗者との間で公平性を欠くことになります。
また、投資者としても、対抗者がいくらで何株を取得するのか不明であるため、市場で売り急いでしまう傾向にあり、十分に考慮することができない可能性があります。
そこで、会社の支配権の争奪となる場面において、買付者間の公平を図り、投資者が十分な情報の下で株式を譲渡すべきか否かを判断することができるように公開買付けを義務づけたのです。
ただし、過剰な規制とならないように、公開買付けを義務づけられるのは、既に3分の1以上を保有する株主による対抗買付け等に限定されています。
なお、3分の1以上の判断は、特別関係者(親族関係、株式保有関係等がある者)の保有分を合計して判断されます。
3分の1未満の株式を保有している者が対抗買付けを行った場合の5%超の判断は、3分の1を保有することとなった以降の取引について判断されます。
公開買付けを要するのは、当初の公開買付期間内に行われる対抗買いですので、公開買付け行っている者、あるいは対象会社の要請により、公開買付けの期間が延長された場合、延長期間内に行われる対抗買いは公開買付けよる必要がありません。