売買契約
売買契約

根保証契約

根保証契約

平成16年の民法の改正により,保証人が個人であって,金銭の貸渡し等によって負担する債務を主債務の範囲に含む貸金等根保証契約については,保証すべき債務が保証契約の締結後に追加されて保証人の責任が過大なものとなる可能性があるため,極度額を定めなければならないとされていました。

しかし,保証人が保証契約締結後の事情で過大な責任を負わされる事例は貸金に留まらず,賃借人による長期間の賃料未払いや,賃借人が賃借物件で自殺したときなどに,親族,知人等が過大な責任を負わされる事例がありました。

そこで,極度額に関する規律の対象を,保証人が個人である根保証契約一般に拡大することとし,個人根保証契約は,主債務の範囲に含まれる債務の種別を問わず(利息,違約金,損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償),書面又は電磁的記録で,極度額を定めなければ保証契約の効力が生じないとされました(465条の2)。

極度額の定めは,保証契約締結の時点で確定的な金額を書面又は電磁的記録により定めておかなければならないとされています。
例えば,極度額を「賃料の6か月分」と記載するだけでは確定としては不十分であるとの見解があり,少なくとも契約書に月額賃料が記載され,書面又は電磁的記録上,極度額の具体的金額を特定することができる必要があると考えられています。

極度額の根保証に関する規律の対象は,賃貸借契約に限らず,取引先と継続的に取引を行うにあたり基本契約書で行う保証契約,介護等の施設への入居にともなう保証契約,フランチャイズ契約・代理店契約にともなう保証契約,雇用契約とともに行う身元保証契約などにも及ぶことになります。

極度額の設定は,保証人が保証契約締結後の事情で過大な責任を負わされることを回避するために設けられたものですので,極度額が過大な金額に設定されている場合には極度額の定めがないと評価される可能性があります。
このため,極度額を定めるにあたっては適切な金額の設定が必要になります。

賃料債務につては,国交省が,1.家賃債務保証業者が貸主に代わって,貸主に支払った滞納家賃等のうち,借主に求償しても回収することができなかった損害額や,2.裁判所の判決において,民間賃貸住宅における借主の未払い家賃等を連帯保証人の負担として確定した額を調査して公表しています。

これらの調査結果を参考に,賃借人から回収できない金額を前提に,連帯保証人に負担を求める極度額を設定することを検討してください。

元本確定

元本確定期日

貸金等に関する個人の根保証契約においては,元本確定期日が最長でも5年,定めがなければ3年とされています(465条の3)が,賃貸借に関する等の一般の個人の根保証については,元本確定期日が設けられていません(465条の3は,貸金等に関する個人の根保証契約に限定されています。)。

元本確定事由

貸金等に関する個人の根保証については,以下の事由が元本確定事由となります(465条の4)。

  1. 主債務者・保証人の財産についての強制執行
  2. 主債務者・保証人の破産
  3. 主債務者・保証人の死亡

他方,賃貸借に関する等の一般の個人の根保証については,以下の事由が元本確定事由となります(465条の4第1項)。

  1. 保証人の財産についての強制執行
  2. 保証人の破産
  3. 主債務者・保証人の死亡

保証人が法人である根保証契約

法人が根保証契約の保証人となった場合において,当該法人が保証債務を履行することによって取得する主債務者に対する求償権について,個人を保証人とするケースがあり,このような保証人は,自ら根保証契約の保証人になるのと同様の状況に置かれています。

そこで,保証人が法人である根保証契約において極度額の定めがないときは,その根保証契約に基づいて発生する求償債務を個人が保証する保証契約が締結されたとしても,当該保証契約は効力を生じないとされました(465条の5第1項・第3項)。

なお,個人の保証人が,複数の不特定の求償権を主債務の範囲に含む根保証契約を締結するときは,法人の保証人と当該個人の保証人との間で,極度額を設定しなければ求償権を保証する契約の効力は生じないため,上記の規定は適用がありません。

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