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社外取締役読本

敵対的買収防衛策の導入及び発動の場合

社外取締役ガイドライン

  1. ① 買収防衛策導入の必要性及び相当性
  2. ② 買収防衛策発動の正当性

買収防衛策とは,資金調達などの事業目的を主要な目的とせずに新株または新株予約権(新株等)の発行を行うこと等により自己に対する買収の実現を困難にする方策のうち,経営者にとって好ましくない者による買収が開始される前に導入されるものと定義されています。

新株等の発行は,市場において調達した資金を使用して企業価値を向上させる目的で行われるものであり,必要性及び相当性,資金使途の合理性,株価算定根拠,その他の発行条件が合理的なものでなければなりません。

ところが,買収防衛策としての新株等の発行は,市場において資金を調達することを目的とはしておらず,専ら,経営者にとって好ましくない者による買収を阻止する目的で行われます。

いずれの動機で行われる新株等の発行であっても,新株等の発行が,企業価値を向上させる目的で行われるという前提を覆すことは許されませんので,買収防衛策は,企業価値を損なう買収に対して,放置すれば将来損なわれるであろう企業価値を回復(買収されたと仮定した場合の想定企業価値から向上)するものであるという限りにおいて正当化されると考えるべきです。

例えば,被買収会社を経営する意思がなく,高値で引取らせる目的である場合(グリーンメイラー),被買収会社の資産を買収者に譲渡させることを目的としている場合(焦土化目的),被買収会社の資産を買収社の債務の担保等に流用する予定がある場合(資産流用目的),被買収会社の資産を処分させて高額配当させたり,株を売抜ける場合(短期利益目的)などが企業価値を損なう買収の典型例です(東京高決平成19年7月9日参照)。

また,買収防衛策の発動は,買収に賛成する株主が買収者に対して株式を売却する機会を奪うことになりますので,発動に先立って,株主が適切に判断するにあたり必要となる情報や時間を確保する必要があります。

さらに,導入する買収防衛策は,買収者以外の株主の公平性や財産権の保護(企業価値を棄損しない)に配慮したものでなければなりません。
複数議決権株や拒否権付株式の発行は他の株主との関係で問題点が多いため,防衛策としては,可能な限り全ての株主に平等な機会が提供され,結果においても許容できる範囲のライツプランが適切であると考えています。

企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」(経済産業省)においては,①企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則(原則1),②事前開示・株主意思の原則(原則2),③必要性・相当性確保の原則(原則3)が示されました。

また,「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」(経済産業省企業価値研究会)においては,取締役は株主共同の利益を最大化する義務を負っているのであるから,自らは判断を回避し,形式的に株主総会に判断を委ねるのではなく,自ら責任をもって買収防衛策の導入及び発動の要否について判断し,その上で株主に対する説明責任を果たすことが求められる,買収防衛策の目的である株主共同の利益の保護という観点から,買収局面における被買収者の取締役の行動の在り方を示すことが重要であるとされています。

この点,CGコードにおいても,買収防衛の効果をもたらすことを企図して取られる方策は,経営陣・取締役の保身を目的とするものであってはならない,その導入・運用につき,株主に対する受託者責任を全うする観点から,その必要性・合理性をしっかりと検討し,適切な手続を確保すること(原則1-5),上場会社は,自社の株式が公開買付に付された場合には,取締役会としての考え方(対抗提案があればその内容を含む)を明確に説明すべきであり,また,株主が公開買付に応じて株式を手放す権利を不当に妨げる措置を講じるべきではない(補充原則1-5①)とされています。

買収防衛策の導入及び発動にあたり,独立性の高い特別委員会を設定して,当該委員会の意見を尊重するという運用が行われることもあります。

取締役会としては,買収者の目的,買収防衛を行う必要性,買収防衛策の相当性につき,説明を十分に行った上で,最決平成19年8月7日の判示も考慮して最終的な判断は株主総会に委ねるべきであると考えています。

買収防衛策においては,社外取締役が手続に主体的に関与していくことになることを認識した上で,前記した点に留意してその職責を果たさなければなりません。

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