交通事故
社外取締役読本

三委員会設置会社における社外取締役の職務

社外取締役は,取締役としての立場で業務を執行することはなく,取締役会の審議,決定に関与します。また,社外取締役が指名委員,監査委員,または報酬委員である場合,当該委員会の職務を行うことにもなります。ですから,社外取締役は,取締役会の構成員としての活動と,所属する委員会の委員としての活動を行うことになります。

取締役会

取締役会は,会社の業務執行のすべてについて決定する権限を有するとともに(法416条1項1号),執行役等の職務の執行を監督します(同条2項)。

取締役会の決議事項は,①経営の基本方針,②監査委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令(規則112条1項)で定める事項,③執行役が2人以上の場合の執行役の職務の分掌および指揮命令の関係その他の執行役相互の関係に関する事項,④取締役会の招集の請求を受ける取締役,⑤内部統制システムの整備,その他の業務執行とされています(法416条1項1号)。

取締役会は,取締役に対して,これらの業務執行の決定を委任することができませんが(同条3項),その決議によって,①経営の基本方針,②重要な業務執行組織等に係る事項,③内部統制システムに関する事項,④定款授権がある場合の自己株式買受けに係る事項,⑤株主総会に係る事項,⑥計算書類等の承認,⑦中間配当の決定,⑧会社の組織再編行為に係る事項を除き,業務執行の決定を執行役に委任することができます(法416条4項)。

各委員会において選定された委員は,遅滞なく,当該委員会の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならず(法417条3項),執行役も,3ヶ月1回以上,自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならず(同条4項代理人によって報告することもできます。),取締役会の要求があったときは,取締役会に出席し,取締役会が求めた事項について説明しなければなりません(同条5項)。

なお,CGコードは,いずれの機関設計を採用する会社にもあてはまるため,監査役会設置会社において説明した内容は,三委員会設置会社にも当てはまります。

各委員会

各委員会は,委員である取締役が招集し(法410条全委員の同意があるとき招集手続を省略することができます(法411条2項)。),執行役等は,各委員会の要求があったとき,当該委員会に出席し,当該委員会が求めた事項について説明をしなければなりません(法411条3項)。
なお,各委員会の議長は,各委員会が指名する委員が務め,議長には社外取締役,執行役がなることもできます。

指名委員会

指名委員会は,株主総会に提出する取締役(会計参与)の選任及び解任に関する議案の内容を決定します(404条1項)。

監査委員会

監査委員会は,執行役,取締役(会計参与)の職務の執行の監査を行い監査役会設置会社の監査役は,自らが会社の業務,財産の調査等を行いますが,監査委員会における監査委員は,内部統制システムが適切に構成・運営されているかを監視し,必要に応じて内部統制部門に対し具体的指示をすることが任務となります。,監査報告を作成し,株主総会に提出する会計監査人の選任・解任,会計監査人を再任しないことに関する議案の内容を決定します(法404条2項)。
監査委員会が選定する監査委員は,いつでも,執行役等及び支配人その他の使用人に対し,その職務の執行に関する事項の報告を求め,または会社の業務及び財産の状況を調査することができ(法405条1項),子会社に対して,事業の報告を求め,または子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができます(同条2項監査委員は,当該各項の報告の徴収または調査に関する事項についての監査委員会の決議があるときは,これに従わなければなりません(法405条4項・非独任制)。)。

監査委員は,①執行役または取締役が不正の行為をし,もしくはするおそれがあると認めるとき,②法令・定款に違反する事実または著しく不当な事実があると認めるときは,遅滞なく,その旨を取締役会に報告しなければならず(法406条),各監査委員は,執行役等の行為の差止めを行うことができ(法407条),監査委員会が選定する監査委員は,執行役及び取締役に対して訴えを提起することができます(法408条)。

なお,監査委員は,その役割との関係で,当該会社またはその子会社の執行役,業務執行取締役,会計参与,支配人その他の使用人を兼ねることができません(法400条4項)。

会社と役員との訴訟,株主代表訴訟における監査委員の職務は,監査等委員会設置会社の監査等委員と同じです(法408条5項)。

報酬委員会

報酬委員会は,執行役及び取締役等の個人別の報酬等内容を決定し,執行役がその会社の支配人その他の使用人を兼ねているときは,当該支配人その他の使用人の報酬等の内容についても決定します(法404条3項執行役等の個人別の報酬等は,①額が確定しているものは個人別の額,②額が確定していないものは個人別の具体的な算定方法,③金銭でいないものは個人別の具体的な内容を決定することになります。)。

なお,報酬委員会は,執行役等の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めなければなりません(法409条1項)。

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