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社外取締役読本

監査等委員会設置会社

監査等委員会設置会社(法2条11号の2)は,取締役会,監査等委員会(取締役会の内部機関),代表取締役,会計監査人によって構成されます。

業務執行の監督

取締役会の権限は,原則として監査役会設置会社と同一で,業務執行の決定と業務執行の監督を行います。
ただし,定款で定めた場合または取締役の過半数が社外取締役である場合,一定の事項を除き,重要な業務執行の決定を取締役に委任することができます(法399条5項,6項)。

これにより,迅速かつ機動的に業務執行が可能となるだけでなく,取締役会が監督機能に費やす時間を十分に確保することができます。事後チェック型の経営モデル(モニタリング・ボード)に準じた経営モデルと言えます。

取締役会が代表取締役を選任する(法399条の13第1項)のは監査役会設置会社と同じです。
なお,代表取締役は,監査等委員である取締役以外の取締役の中から選任しなければならないとされ(同条3項),監査の独立性は維持されています。

業務執行の監査

業務執行の監査は,監査委員である取締役と取締役会の内部に設けられた監査等委員会が行います(法399条の2第3項1号)。

取締役会の内部に監査等委員会を設置し,委員が取締役であることから監査等委員会の権限を行使する者が取締役会の審議・決議に関与することができ,監査等の業務の実効性を高めることができる機関構成となっているわけです。監査役設置会社では,監査役会の過半数を社外監査役とした上で,取締役会に社外取締役を取り入れなければならず,三委員会設置会社では,三委員会の取締役の過半数を社外取締役としなければならない関係で,外部人材確保の負担が大きいと言われていました。監査等委員会設置会社は,外部人材確保の負担が比較的小さいこともあって,近年,採用する上場会社の数が増加しています。

監査等委員である取締役(法399条の2)は,3人以上で,その過半数は,社外取締役でなければならないとされており(法331条6項),監査役と同様の兼任規制を受けます。

また,監査等委員である取締役とそれ以外の取締役は,株主総会において区別して選任しなければなりません(法329条)。そして,監査等委員である取締役を解任するには株主総会の特別決議が必要であり(法309条2項7号),監査等委員である取締役には,意見陳述権が与えられています(法342条の2第1項)。

監査等委員以外の取締役の任期は,選任後1年以内に終了する事業年度のうち,最後のものに関する定時株主総会の終結までですが,監査等委員である取締役の任期は2年とされ,監査役と同様に,期間を短縮することができません(332条)。

監査等委員会は,全ての取締役である監査委員監査等委員は,当該会社またはその子会社の業務執行取締役・支配人その他の使用人,会計参与を兼任することができません(法331条3項,333条3項1号)。で組織され(法399条の2),各監査委員が招集し(法399条の8),必要に応じて取締役,会計参与に出席を求めることができます(法399条の9)。

監査等委員会のその他の権限

取締役は,監査等委員である取締役の選任に関する議案を株主総会に提出するには,監査等委員会の同意を得なければならず(法344条の2第1項),監査等委員会は,取締役に対し,監査等委員である取締役の選任を株主総会の目的とすること,または監査等委員である取締役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができます(同条2項)。

また,監査等委員である取締役は,株主総会において,監査等委員である取締役の選任・解任または辞任について意見陳述権を有し(法342条の2第1項),監査等委員会が選定する監査等委員は,株主総会において,監査等委員である取締役以外の取締役の選任・解任または辞任について意見を述べることができます(同条4項)。

さらに,監査等委員会は,監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等についての意見(法361条6項)の決定行います(法399条の2第3項)。
監査等委員会設置会社においては,報酬に関する意見を決定する形で,取締役会の監督機能を強化しているわけです。

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