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社外取締役読本

社外取締役の役割

コーポレートガバナンスが,「会社が,株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で,透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」であるならば,コーポレートガバナンスを実践した経営というのは,会社経営による人治(恣意的判断)を排し,会社経営に「法の支配」を及ぼす経営と言い換えることができると思います。

取締役会が内部の者だけで構成されている場合,取締役に就任するまでに形成された序列や,時間とともに醸成された仲間意識などが取締役会の意識形成を支配し,恣意的な経営判断を許容することになります。

そのような経営判断を廃し,CGコードに基づく会社経営が行われることが求められているわけですが,この会社経営に「法の支配」を及ぼすという役割を担う者として期待されているのが社外取締役で,社外取締役は,会社経営における「法の支配の番人」として,その職責を果たすことが求められているのだと思います。

なお,CGコードにおいては,「取締役会による独立かつ客観的な経営の監督の実効性を確保すべく,業務の執行に携わらない,業務の執行と一定の距離を置く取締役の活用を検討するべきである。」(原則4-6)とされ,「経営の監督と執行の分離」を推進し,経営の監督における取締役会の独立性及び客観性を確保するために,社外取締役の活用が求められています。

そして,独立社外取締役に期待される役割・責務として以下のものを列挙しています(原則4-7独立社外取締役が取締役会における議論に積極的に貢献できるよう,独立社外者のみを構成員とする会合を定期的に開催するなどして,情報交換・認識共有を図ること(補充原則4-8①),互選により「筆頭独立社外取締役」を決定することなどにより,経営陣との連絡・調整や監査役または監査役会との連携に係る体制整備を図ること(補充原則4-8②)とされています。)。

  • ① 経営の方針や経営改善について,自らの知見に基づき,会社の持続的な成長を促し,中長期な企業価値の向上を図る,との観点から助言を行うこと
  • ② 経営幹部の選任解任その他の取締役の重要な意思決定を通じ,経営の監督を行うこと
  • ③ 会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
  • ④ 経営陣・支配株主から独立した立場で,少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること

また,独立社外取締役は,会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきとされています(原則4-8このような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきであるとされています。)。

会社経営者は,会社内での社外取締役の地位,社外取締役の役割を理解した上で社外取締役を迎え入れなければなりませんし,社外取締役は,会社内で確保されるべき地位の確保に努め,みずからの役割・責務を理解した上で,その本分を尽くさなければならないのです。

なお,取締役会における社外取締役の活動状況は事業報告書によって開示されます① 取締役会(監査役会,監査員会含む)への出席状況
② 取締役会(監査役会,監査委員会含む)における発言状況
③ その社外役員の意見により会社の事業の方針又は事業その他の事項に係る決定が変更されたときは,その内容
④ その事業年度中に,法令・定款違反事実その他不当な業務執行が行われた事実があるときは,各社外役員がその事実の発生の予防のために行った行為及びその事実の発生後の対応として行った行為の概要
ので留意する必要があります。

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