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社外取締役読本

MBO及び親会社による上場子会社の完全子会社化(MBO等)の場合

MBO及び親会社による上場子会社の完全子会社化(MBO等)の場合

社外取締役ガイドライン

  1. ① MBOの背景事情を踏まえた目的の合理性
  2. ② 買付価格の相当性とその決定プロセスの公正性及び透明性(独立委員会の設置,構成及び運営の在り方を含む。)
  3. ③ 利益相反関係にある取締役の範囲及び関与(遮断)の程度

MBO及び親会社による上場子会社の完全子会社化(MBO等)の場合

社外取締役ガイドライン

  1. ① 売渡対価及び売渡対価の総額の相当性
  2. ② 売渡対価の支払のための資金を確保する方法の相当性
  3. ③ 売渡対価の交付の見込み
  4. ④ 取引条件を定めるときはその相当性
  5. ⑤ その他売渡株主等の利益を害さないように留意する事項

長期的な視点で経営を行うこと,意思決定を迅速に行うこと,上場維持費用を削減すること等を目的に,経営陣が投資ファンド等と協力してMBOを行うことがあります。
また,近時,親子上場の問題が指摘されるようになり,親会社による子会社の非上場化が行われるようにもなっています。

MBOや親会社による子会社の非上場化(MBO等)では,大量の株式を取得することが予定されていますので,市場外で,公開買付けによる株式の取得が義務付けられることになります(金商法27条の2第1項)。

公開買付けとは,あらかじめ買取期間,株数,価格を提示して,市場外において株式を一括で買付ける方法東京証券取引所においては,90%を超えて株式を取得すると対象会社は,上場廃止になります。です。

公開買付けを行う者は,公開買付け届出書を提出し(金商法27条の3),公開買付対象者は,公開買付けに関する意見等を記載した意見表明報告書を提出します(同法27条の10)。
公開買付けが行われた場合の株主の選択としては,①公開買付けに応じる公開買付けによる取得上限数が設定され,公開買付けに応じた株数が上限数を超えている場合には抽選によることになります。,②市場で株式を売却する,③継続して株式を保有する多くの株主が公開買付に応じず,あらかじめ設定した株数に達しなかった場合には,公開買付け不成立となります。,のいずれかになります。

MBO等で対象会社の完全支配(100%)を目指す場合には,公開買付けにより3分の2以上の議決権を取得し,特別支配株主の株式売渡請求,株式併合,現金対価株式交換,全部取得条項付種類株式を用い,公開買付けに応じなかった株主の株式を取得することになります(2段階方式)。

特別支配株主とは,議決権の90%以上を保有している支配株主を指し,特別支配株主は,全ての株主に対して,全ての株式を売り渡すことを請求することができます(法179条1項)。
特別支配株主は,対象会社に対して,株式売渡請求を行う旨,売渡株主に対して株式の対価として交付する金銭の額,取得する日等を通知し,取締役会の承認を得て(法179条の3),各株主に対して通知することになります(法179条の5)。

株主総会の特別決議を経る必要がありませんので,公開買付けによって議決権の90%を保有することができた場合には,売渡請求権を行使して完全支配を実現するのが一般的です。

公開買付けによって3分の2以上の議決権を取得した場合には,株主総会の特別決議を経て,株式併合,現金対価株式交換,全部取得条項付種類株式への転換を行うことになります。

他の全ての株主の株式が一株に満たない割合により株式併合(法180条)を行い,その株式を買取る(法234条,235条)ことにより完全支配を実現することができます。

また,両当時会社の特別決議を経て現金を対価とした株式交換契約を対象会社と締結する(法767条)方法によっても完全支配を実現することができます。

さらに,株主総会の特別決議により定款変更を行うことにより種類株式発行会社となり,株主総会の特別決議により発行済の普通株式を全部取得条項付株式に転換する決議を行い,少数株主から全ての株式を取得ただし,全部取得条項付株式による方法は,対象会社が種類株式発行会社でない場合には二度の株主総会特別決議を経なければならず,取得にあたって支払う対価が配当可能利益の範囲でなければならないという財源規制も存在することから,あまり使用されない手法です。するという方法もあります。

MBO等は,株主の利益を代表すべき経営陣たる取締役が一般株主から株式を取得する点で,構造的に利益相反関係の問題を包含している上に,会社に関する正確かつ大量の情報を有している経営陣と一般株主との間に情報格差があるという問題も包含しています。
さらに,上記各問題に加えて少数株主の利益を害するという問題多くの株主は,公開買付けの後にスクイーズ・アウトが予定されていることを見越して,事実上公開買付けに応じざるを得なくなるという問題があります。
例えば,公開買付けを行うことを表明する際に,その後にスクイーズ・アウトを行うことを表明しておき,スクイーズ・アウトによる買取金額が公開買付けで提示された金額より低額であれば,株主は,事実上,公開買付けに応じざるを得なくなるという問題が発生します。
も発生します。

これらの問題点を解消するための指針として,「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(経済産業省・MBO指針)が示されています。
なお,上記指針は,MBOを対象とはしていますが,親会社による完全子会社化にもあてはまります。

MBO指針においては,MBOで尊重されるべき原則として,①企業価値の向上(第1原則)と②公正な手続を通じた株主利益への配慮が示されて,透明性・合理性確保のための枠組みとして,①株主の適切な判断機会の確保,②意思決定過程における恣意性の排除,③価格の適正性を担保する客観的状況の確保法律的な視点としては,会社法における取締役の忠実義務の議論の一環として位置付けることが可能であるとの指摘もあるが,それにとどまらず,より広範な視点として,公正なM&Aルールの一環として企業社会において共有されるべきルールという側面からも位置付けられるべきであるとされています。が求められています。

企業価値の向上

非上場化の目的の合理性は,第一義的に企業価値の向上になければなりません。
特に,MBO等においては構造的な利益相反関係にあるわけですから,通常の組織再編と比較して,目的の合理性が強く求められるところです。

公正な手続を通じた株主利益への配慮

MBOは,取締役と株主との間の取引であるため,株主にとって公正な手続を通じて行われ,株主が受けるべき利益が損なわれることのないように配慮しなければなりません。
公開買付けの後に予定されているスクイーズ・アウトの条件を含めて,株主が受ける利益が損なわれないように配慮する必要があるのです。

株主の適切な判断機会の確保

MBOにおいて,各株主が納得して適切に判断し,その意思を表明できることが重要なポイントとなることにかんがみ,各株主の背景や属性等も十分に考慮して,株主の判断に資するための充実した説明を行い,かつ,株主が当該説明を踏まえた適切な判断を行える機会を確保する必要があります。

意思決定過程における恣意性の排除

MBOには,構造上の利益相反の問題が存在することにかんがみ,不当に恣意的な判断がなされないようにするなど,意思決定のプロセスにおける工夫を行う必要があります。
財務・法務等のアドバイザーの選任を社外取締役が中心になって行う,第三者委員会を設けて手続に対する意見を求める,利益相反関係にある取締役の関与を遮断する等の対応が求められます。

価格の適正性を担保する客観的状況の確保

MBOは,構造上の利益相反の問題に起因する不透明感が強いことにかんがみ,価格の適正性に関し,対抗買付の機会対抗買付の機会を十分に確保したにもかかわらず対抗買付が行われることがなかったという事実は,買付け価格の相当性を客観的に裏付けることになります。を確保する等の客観的な状況により担保がなされる必要があります。

株主の適切な判断機会の確保

株主意思確認の見地を重視し,実務的対応としてMBOに際しての公開買付けおける買付数の下限を,高い水準特別支配株主の株式売渡請求という制度が法定されていることを前提に株主意思確認の見地を重視するのであれば,買付数の下限は,特別支配株主の要件に準じたものとするのが望ましいと言えますが,このような高い水準を設定することで公開買付けの成否が著しく不安定となることにも配慮しなければなりません。
買付数の下限設定は,議決権の3分の2を大きく上回るものとした上で,個別に判断していくしかないと思います。
に設定することが示されています。

また,CGコードにおいても,支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策(増資,MBO等を含む。)については,既存株主を不当に害することのないよう,株主に対する受託者責任を全うする観点から,その必要性・合理性をしっかりと検討し,適正な手続を確保すること(原則1-6)が求められています。

MBO等においては,社外取締役が手続に主体的に関与していくことになることを認識した上で,前記した点に留意してその職責を果たさなければなりません。

関連当事者との取引の場合

社外取締役ガイドライン

  1. ① 取引の重要性やその性質に応じた適切な手続きが,取締役会においてあらかじめ定められ,その枠組みが開示されているか。
  2. ② 取締役会が,以下の点を踏まえた適切な監視(取引の承認を含む)を行っているか。
    1. ア 取引の目的の合理性
    2. イ 価格その他の取引条件の相当性及び決定プロセスの公正性・透明性

関連当事者とは,①親会社,②子会社,③親会社の子会社,④その他の関係会社ならびにその他の関係会社の親会社及び子会社,⑤関連会社及び関連会社の子会社,⑥主要株主(10%以上の議決権を保有している株主)及びその近親者(2親等内の親族),⑦役員及び近親者,⑧主要株主およびその近親者,役員およびその近親者が議決権の過半数を所有している場合の当該会社等および当該会社等の子会社をいいます(計算規則140条4項,財務諸表等規則8条の10)。

関連当事者との取引1,000万円を超える取引については,関連当事者の分類を行い,計算書類の注記表の「関連当事者との取引に関する注記」に記載して開示する必要がります。は,独立した当事者との間の取引条件とは異なった条件で行われる,関連当事者に利益を移転する,関連当事者を利用して会社の利益が操作されるおそれがあり,会社の財務状況や業績を含めた経営全体に重要な影響を与える可能性があります。

そこで,会社が関連当事者と取引を行う場合には,上記したおそれを排除する枠組みが必要となり,当該枠組み基づいた取引が関連当事者との間で行われているか監視する必要があるわけです。
そして,社外取締役ガイドラインにおいては,かかる問題意識に基づき,上記した事項につき確認することが求められているわけです。

なお,取引条件の相当性及び決定プロセスの公正性は,独立した当事者との間の取引条件と比較して判断することになります。

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