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社外取締役読本

M&A等の組織再編の場合

社外取締役ガイドライン

  1. ① 目的の合理性及び手法の相当性
  2. ② デューデリジェンスにより抽出された問題点の検討及び解消状況
  3. ③ 買収価格(比率)とその決定プロセスの公正性
  4. ④ 費用(コンサルタント費用を含む)の相当性

① 目的の合理性及び手法の相当性

内部留保金を,株主への還元(配当・自己株式取得及び消却)に使用するのか,あるいはM&A等の投資に使用するのかは,高度な経営判断が求められる事項です。
社外取締役としては,当該M&A等が,会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的としたものであるか確認する必要会社が自己株式を取得した際には,株主還元のために消却するのか,あるいは,将来行われる可能性があるM&A等の対価として使用するために保持するのかにつき,社外取締役から経営陣に対して,資本効率を意識した検討を行うことを求めるということがあってもよいのかもしれません。があります。

M&A等の手法が相当であるか否かを確認するためには,全ての手続に関する資料と説明を事前に得ておく必要がありますし,それを確認するための時間的余裕を確保しておく必要があります。

② デューデリジェンスにより抽出された問題点の検討及び解消状況

M&A等行われる場合,法務,会計,税務の観点から,各専門家による精査が行われ,報告書が作成されます。

社外取締役は,実施主体の専門性,適格性について確認するとともに,報告書に示された問題点の把握,問題点の解消状況,解消していない問題点の契約書への反映につき確認する必要があります。

なお,報告書に示された問題点は,「M&A実行の障害となる問題」,「対象企業の価値の評価に影響を与える問題点」,「買収後の事業計画などに影響を与える問題点」,「経営判断に影響を及ぼし得るその他の問題」に区分されていますので,それを意識した上で把握するようにしてください。

③ 買収価格(比率)とその決定プロセスの公正性

決定の過程,決定の内容に著しく不合理な点がない場合には,取締役としての善管注意義務違反が認められないという基準が存在します(最判平成22年7月15日上場会社による非上場子会社の完全子会社化の事例に関する判例)。
買収価格とその決定のプロセスの公正性を検討するにあたり上記判例を意識しておく必要がありますが,社外取締役には,さらに高い次元で株主共同の利益の最大化に寄与することが期待されています。

社外取締役ガイドラインにおいては,「買収価格(比率)については,デューデリジェンスの結果を踏まえ,独立した機関によるされることが望ましい。」とされています。
社外取締役は,買収価格(比率)が独立した機関によって評価されていない場合には,その理由を確認しておく必要があります。

仮に,独立した機関によって評価が行われている場合であったとしても,当該機関によって,デューデリジェンスで示された問題点がどのような形で評価に反映されているか,評価への反映が適切であるかを確認しておく必要があります。

社外取締役ガイドラインにおいては,「株価に一定のプレミアムを加算して買収価格(比率)を決定する場合,プレミアムが組織再編に伴うシナジー効果(コスト・シナジー及びレベニュー・シナジー)に見合うかの検証は重要である。支配株主の有無,名称,議決権割合,支配株主との取引を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針が「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の記載項目となっており,東京証券取引所規則においては,支配株主との利害関係を有しない者から意見を入手することが義務付けられています。」とされています。

組織再編に伴うシナジー効果は,定量的に示すことが困難であることから,社外取締役としては,具体的にどのような効果が見込めるのかを把握することになります。

最終的な買収価格(比率)は,当事者の交渉を経て決定されるものである上に,市場動向にも依存するものですから,デューデリジェンスに基づく評価額からプラスの方向へ大きく乖離していることも少なくありません。

社外取締役は,交渉経過も踏まえた上で,評価額からの乖離がプラス方向に不当に振れすぎていないかを確認する必要があります。

なお,評価額からのプラス方向への乖離は,買収価格(比率)との関係ではプレミアムと表現され,会計上では「のれん」として計上されますが,計画していた利益を得ることができない場合には「のれん」を損失として計上することになり,株主に対する配当が大きく減じられるM&Aが活発に行われている市況下にある場合や,大きな成長が見込めるとして脚光を浴びている事業分野では,買収価格(比率)が高額化する傾向にあり,実行後に減損処理を余儀なくされるという事例が散見されますので注意が必要です。ことになるということを意識しておかなければなりません。

④ 費用(コンサルタント費用を含む。)の相当性

費用の相当性には,費用相場との関係,買収価格(比率)との関係,M&A等によって期待できる経済的効果との関係で,相当といえるか否かを確認しておく必要があります。

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