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資本政策

資本政策

資本政策とは,会社の資本の部に影響する株式等の発行・消却・保有と利益剰余金の配当等に関する政策をいいます。 会社にとって最も重要な資本政策はファイナンスですが,株主にとっては資本充実(自己株式の取得)や資本効率(期待値の高い配当)が重要になってきます。

また,M&Aにおいて,現金を使用するのか,自己株式を使用するのか(新株発行を行うのか,金庫株を利用するのか),株式交換を行うのか,重要な決議事項に関して多くの議決権を付与する種類株の発行,新株予約権を付与する等の買収防衛策の内容,役員や従業員に自己株式や新株予約権を付与するインセンティブプラン等も資本構成,株主の利益に大きな影響を与える要因となります。

そこで,CGコードにおいては,「上場会社は,資本政策の動向が株主の利益に重要な影響を与えることを踏まえ,資本政策の基本的な方針について説明を行うべきである。」(原則1-3)とされています。

政策保有株式

CGコードにおいて,「上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には,政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など,政策保有に関する方針を開示すべきである。また,毎年,取締役会で,個別の政策保有株式について,保有目的が適切か,保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し,保有の適否を検証するとともに,そうした検証の内容について開示すべきである。」,「上場会社は,政策保有株式に係る議決権の行使について,適切な対応を確保するための具体的な基準を策定・開示し,その基準に沿った対応を行うべきである。」(原則1-4)とされています。

また,有価証券報告書等においては,以下の各事項を開示する必要があります平成31年1月「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」により開示範囲が大幅に拡大されています。

全体 基本情報
  • ①保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)の区分の基準や考え方
  • ②政策保有株式について,提出会社の保有方針,保有の合理性を検討する方法(上場株式に限ることができる)
  • ③政策保有株式について,個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等の検証の内容(上場株式に限ることができる)
全体に関する情報 全体に関する情報
保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式を非上場株式とそれ以外に区分し
  • ①銘柄数
  • ②貸借対照表計上額の合計額
  • ③最近事業年度における株式数が前事業年度における株式数から変動した銘柄について
    • (a)増加(減少)した銘柄数
    • (b)増加(減少)に係る取得(売却)価額の合計額
    • (c)増加の理由
個別銘柄 個別銘柄に関する情報の開示対象銘柄 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(非上場株式を除く)及び,みなし保有株式のうち
①当該銘柄の貸借対照表計上額が提出会社の資本金額の1%を超えるもの
②当該銘柄の貸借対照表計上額の大きい順の60銘柄(①が60銘柄に満たない場合のみ)
個別銘柄に関する情報(対象銘柄のみ)
  • ①銘柄
  • ②株式数
  • ③貸借対照表計上額
  • ④保有目的
  • ⑤提出会社の経営方針・経営戦略等,事業の内容およびセグメント情報と関連付けた定量的な保有効果(定量的な保有効果の記載が困難な場合はその旨および保有の合理性を検証した方法)
  • ⑥株式数が増加した理由(最近事業年度における株式数が前事業年度における株式数から増加した銘柄に限る)
  • ⑦当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無
保有目的が純投資目的である投資株式 非上場株式とそれ以外に区分し,
  • ①最近事業年度とその前事業年度における貸借対照表計上額の合計額,銘柄数
  • ②最近事業年度の受取配当金,売却損益,評価損益のそれぞれの合計額

会計監査に関する情報

企業,監査法人,当局のそれぞれにおいて,会計監査に関する情報の株主等への提供の充実に取り組み,会計監査の透明性向上に努めるべきであるとして,以下の提言がおこなわれています会計監査の在り方に関する懇談会」による提言(平成28年3月)

(1)企業による会計監査に関する開示の充実

会計監査の透明性向上による好循環を実現していくためには,まず,企業が適正な監査の確保に向けて監査人とどのような取組みを行っているか,監査役会等が監査人をどのように評価しているか等について,株主に対して適切に情報提供することが必要である。こうした観点から,有価証券報告書等における会計監査に関する開示の内容を充実させるべきである。

また,例えば,監査人の独立性を評価するにあたっては,当該監査人がその企業の監査に従事してきた期間などは重要な情報であり,こうした情報を有価証券報告書等に記載することを検討すべきである。

(2)会計監査の内容等に関する情報提供の充実

会計監査の透明性を向上させるためには,企業側からの情報提供に加え,監査法人等が積極的にその運営状況や個別の会計監査等について情報提供していくべきである。また,当局等においても情報提供の 充実に努めるべきである。

① 監査法人等のガバナンス情報の開示

株主等が監査法人等を適正に評価するためには,監査法人等が,その運営状況等の情報を適切に提供することも必要である。
適正に会計監査が評価されるよう,監査法人がそのガバナンスの状況や会計監査の品質確保のための取組み等について開示・説明することを求めるべきである。

② 監査報告書の透明化等

監査報告書の透明化」について,株主等に対する情報提供を充実させる観点から,検討を進めるべきである。

③ 監査人の交代時における開示の在り方

このため,監査人の交代の理由等の開示について,株主等にとってより有用な情報の提供を確保することが必要である。したがって,監査人の交代の理由等についてより充実した開示を求めるとともに,例えば,日本公認会計士協会(以下「協会」という)において,監 査法人等が交代の理由等に関して適時意見を述べる開示制度を設けるなど,開示の主体やその内容などについて,改めて検討がなされるべきである。こうした取組みは監査人の独立性の確保にも資するものと期待される。

④ 当局による会計監査に関する情報提供の充実

公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という)によるモニタリング活動の成果を,株主等が会計監査に対する理解を深めることに資するような形で整理して公表する(「モニタリングレ ポート」)ことが適当であると考えられる。

なお,事業報告において開示されている監査人の解任・不再任の方針,監査役会等が監査報酬額に同意した理由等,監査役会の開催頻度や主な検討事項等につき,有価証券報告書において開示することが求められています平成31年1月「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」。

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