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社外取締役読本

監査役に関する事項

取締役会の外部機関である監査役による業務執行の監査を実効的なものとするため設けられたものです。CGコードにおいては,「監査役及び監査役会は,取締役の職務の執行の監査,外部会計監査人の選解任や監査役報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって,株主に対する受託者責任を踏まえ,独立した客観的な立場において適切な判断を行うべきである。」,「また,監査役及び監査役会に期待される重要な役割・責務には,業務監査・会計監査をはじめとするいわば『守りの機能』があるが,こうした機能を含め,その役割・責務を十分に果たすためには,自らの守備範囲を過度に狭く捉えることは適切でなく,能動的・積極的に権限を行使し,取締役会においてあるいは経営陣に対して適切に意見を述べるべきである。」(原則4-4)とされています。
また,「監査役会は,会社法により,その半数以上を社外監査役とすること及び常勤の監査役を置くことの双方が求められていることを踏まえ,その役割・責務を十分に果たすとの観点から,前者に由来する強固な独立性と,後者が保有する高度な情報収集力とを有機的に組み合わせて実効性を高めるべきである。」(補充原則4-4④)とされています。

監査役に関する事項としては,規則において,「監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項」,「使用人の取締役からの独立性に関する事項」,「取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制」,「その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制」が定められていましたが,平成27年規則改正により,「監査役のその職務を補助すべき使用人に対する指示の実行性の確保に関する事項」,「取締役及び会計参与並びに使用人が監査役に報告をするための体制」,「子会社の取締役,会計参与,監査役,執行役,業務を執行する社員,法598条1項の職務を行うべき者持分会社において,法人が業務を執行する社員である場合に,当該業務を執行する社員の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が監査役に報告をするための体制」が加わりました。

⑪監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項(規則98条4項1号,100条3項1号,110条の4第1項1号,112条1項1号)

会社の規模や事業所・工場などの所在状況により,物理的にみて監査役のみで十分な監査を行うことが不可能な場合があります。また,監査役の経験や知識のみでは,取締役の職務執行を監督することが困難であることも想定されます。

そこで,監査役の職務を補助する使用人が必要となることがあり,多くの会社で監査役を補助する使用人査等委員会設置会社及び三委員会設置会社においては,監査等委員会あるいは監査委員会が社外取締役のみによって構成される場合があり,その場合にはこれらの委員会を補助する使用人のみならず,これらの委員会を補助する取締役が付されることがあります。
そこで,監査等委員会設置会社及び三委員会設置会社においては,補助する使用人だけでなく,補助する取締役も記載することとなっています(110条の4第1項1号,112条1項1号)
が存在するため,当該事項が決議事項とされています。
なお,事業報告に,監査役の職務を補助すべき使用人がいるかについて記載する必要はないと解されています。

ところで,規則においては,「監査役が求めた場合」とされ,監査役が求めていることが前提となっていますが,監査役は,その職務を適切に遂行するため,監査の環境の整備に努めなければならない(規則105条)とされ,監査役が補助使用人の設置を求めなかったことにより十分な監査を行うことができなかった場合には,任務懈怠責任を負うことになる(法423条1項)ことから,監査役は,通常,使用人を置くことを求めることになることが前提となっています。

この点,CGコードにおいては,「上場会社は,人員面を含む取締役・監査役の支援体制を整えるべきである。」,(原則4-13)とされています。

以上を前提に,決議すべき事項として以下のものが示されています(論点解説339頁)。

  1. ⅰ 監査役が補助使用人を求めた場合に補助使用人を置くのか
  2. ⅱ 監査役専属の補助使用人を置くのか,他の部署と兼務か
  3. ⅲ 補助使用人の人数や地位

補助使用人の人数については,柔軟性をもたせるべく人数を特定することなく,取締役会と監査役会との協議により決定する記載するのが一般的です。

⑫使用人の取締役からの独立性に関する事項(規則98条4項2号,100条3項2号,110条の4第1項2号,112条1項2号)

監査役は,会社の業務執行者である取締役の監督をその職務とするため,当該会社もしくはその子会社の取締役もしくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与もしくは執行役を兼ねることができず,その独立性が確保されています(法335条2項)。

そして,当該監査役の職務を補助する使用人についても,取締役から一定程度の独立性が確保されていなければ,監査役の独立性が損なわれる可能性があるため,当該事項が規定されています。

決議すべき事項としては以下のとおりです(論点解説339頁)。

  1. ⅰ 補助使用人の異動についての監査役会の同意の要否
  2. ⅱ 取締役会の補助使用人に対する指揮命令権の有無。
  3. ⅲ 補助使用人の懲戒についての監査役会の関与

⑬監査役のその職務を補助すべき使用人に対する指示の実行性の確保に関する事項(規則98条4項3号,100条3項3号,110条の4第1項3号,112条1項3号)

監査役の職務を補助すべき使用人の取締役からの独立性が高まれば,監査役による指示の実行性が高まるという関係にあるため,「支持の実効性の関する事項」と一体的に規定することも考えられるところですが,監査を支える体制に係る規定の充実・具体化を図るために,敢えて別に定められていると言われています。

決議においては,監査役等が補助使用人を置くことを求めた場合における当該使用人関する事項,補助使用人の取締役からの独立性に関する事項とまとめて,包括的に充足する体制として決議しても問題はありません。

一般的には,取締役会,内部監査部門,会計監査人,グループ会社の他の監査役との連携(定期的な会合,情報交換等)について記載されています。

⑭取締役及び会計参与並びに使用人が監査役に報告をするための体制(規則98条4項4号イ,100条3項4号イ,110条の4第1項4号イ,112条1項4号イ)

監査役に対して情報が提供される体制が確保されていなければ,監査役による監査が適切に行われないことから設けられています。

取締役は,会社に著しい損害を及ぼすおそれがある事実があることを発見したときは,直ちにその事実を監査役会(監査役)に報告しなければなりません(法357条)。
しかし,監査役による監査の実効性を高めるためには,このような事項以外の情報が取締役に提供されている必要があります。

また,監査役は,いつでも取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め,又は会社の業務及び財産の状況の調査をすることができますが(法381条2項),監査役による監査の実効性を高めるためには,監査役から求められなくても監査役に情報が提供される体制が必要となります。

この点,CGコードにおいては,「取締役・監査役は,その役割・責務を実効的に果たすためには,能動的に情報を入手すべきであり,必要に応じ,会社に対して追加の情報提供を求めるべきである。」,「取締役会・監査役会は,各取締役・監査役が求める情報の円滑な提供が確保されているかどうかを確認すべきである。」(原則4-13),「社外監査役を含む監査役は,法令に基づく調査権限を行使することを含め,適切に情報入手を行うべきである。」(補充原則4-13①),「上場会社は,例えば,社外取締役・社外監査役の指示を受けて会社の情報を適確に提供できるよう社内との連絡・調整にあたる者の選任など,社外取締役や社外監査役に必要な情報を適確に提供するための工夫を行うべきである。」(補充原則4-13③)とされています。

以上を前提として,決議すべき事項として以下のものが示されています(「立法担当者による新会社法関係法務省令の解説」・別冊商事法務300号34頁)

  1. ⅰ 監査役に報告すべき事項の範囲
  2. ⅱ 報告すべき事項に応じた報告方法
  3. ⅲ 使用人が,直接,監査役に報告するものとするか(内部通報制度の設置)

CGコードにおいては,「上場会社は,その従業員等が,不利益を被る危険を懸念することなく,違法または不適切な行為・情報開示に関する情報や真摯な疑念を伝えることができるよう,また,伝えられた情報や疑念が客観的に検証され適切に活用されるよう,内部通報に係る適切な体制整備を行うべきである。」,「取締役会は,こうした体制整備を実現する責務を負うとともに,その運用状況を監督すべきである。」(原則2-5)とされています。

CGコードを前提にする限り,内部通報制度の整備は行われるべきものであり,それを前提に,取締役会が内部通報制度の運用状況を把握するための体制,通報された内容を検証し,業務執行に活用されるための体制についても設けるべきであると考えます。

なお,CGコードにおいては,「上場会社は,内部通報に係る体制整備の一環として,経営陣から独立した窓口の設置(例えば,社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべきであり,また,情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべきである。」(補充原則2-5①)とされていますが,監査役を窓口とする通報体制を整えている場合には,当該体制に関する記載は,本号に定められた体制の一つであると整理されることになります。

⑮子会社の取締役,会計参与,監査役,執行役,業務を執行する社員,法598条1項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が監査役に報告をするための体制(規則98条4項4号ロ,100条3項4号ロ,110条の4第1項4号ロ,112条1項4号ロ)

監査役に対して子会社の情報が提供される体制が確保されていなければグループ管理のために監査役の権限を適切に行使することができず,敷いては,当該会社の業務執行の適正を確保することができないおそれが高いと考えられ設けられました。

なお,CGコード補足原則2-5①との関係で,監査役が窓口となっていない場合は,本号の体制に含まれると整理されることになります。

決議を行うべき事項としては,親会社の監査役に報告すべき事項の範囲,報告すべき事項に応じた報告方法,使用人が,直接,親会社の監査役に報告するものとした場合のグループを通貫する内部通報制度の設置,親会社の担当者から親会社の監査役に報告するものとした場合の体制等が考えられます。

⑯報告した者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制(規則98条4項5号,100条3項5号,110条の4第1項5号,112条1項5号)

監査役に対する報告を行う体制が整えられていたとしても,業務執行等に関する違法または不適切な行為,情報開示に関する情報等を監査役に報告した者が,取締役等から不利な取扱いを受けるようであれば, 監査役に報告や情報が寄せられることがなく充実した監査を行うこと不可能になるため設けられたものです。

なお,CGコードにおいても,情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべき(補充原則2-5①)とされています。

一般的に,取締役及び会計参与並びに使用人が監査役に報告をするための体制とともに包括的に充足する体制として決議されています。

CGコード補足原則2-5①との関係で,監査役を窓口としない場合で,監査役に報告されることになっているときには本号の体制に含まれると整理されていますが,監査役等を窓口としない内部通報窓口に対して通報したことを理由として不利益な取扱いを受けないことを確保するための体制を構築している場合には,「使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」に含まれるとも考えられるため,当該事項においてまとめて記載することも考えられるところです。

⑰監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項(規則98条4項6号,100条3項6号,110条の4第1項6号,112条1項6号)

法388条等に監査費用の償還に関する規定が存在するものの,各社において,それぞれの状況に応じて,同条等の規定による監査費用の償還の手続その他の監査費用の処理にかかる方針についての決議をあらかじめ行っておくことは,監査費用の処理について監査役等の予測可能性を高め,監査役等の職務の円滑な執行に資するとの考えに基づき定められています。

監査役会と取締役会が協議して費用の前払い,償還の手続に関する規定を制定する等が考えられます。
なお,監査役による監査の実行を担保するため,監査役から請求されたものは,監査役の職務の執行について生じたものと推定するという趣旨の規定(反証がない限り推定が及ぶ。)を設けることも考え得るところです。

⑱その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制(規則98条4項7号,100条3項7号,110条の4第1項7号,112条1項7号)

既に,個別列挙した事項のみでは,監査役による監査の実効性を確保するのに不十分である可能性があるため包括規定が定められました。

この点,CGコードにおいては,「上場会社は,内部監査部門と取締役・監査役との連携を確保すべきである。」(補充原則4-13③)とされていることから,内部監査部門との連携体制を構築することが考えられます。

また,「監査役または監査役会は,社外取締役が,その独立性に影響を受けることなく情報収集力の強化を図ることができるよう,社外取締役との連携を確保すべきである。」(補充原則4-4①)とされていることから,社外取締役との連携体制を構築することが考えられます。

さらに,「取締役・監査役は,必要と考える場合には,会社の費用において外部の専門家の助言を得ることも考慮すべきである。」(補充原則4-13②)とされていることから,監査役が求める場合に外部の専門家をアドバイザーとして迎え入れる体制等が考えられます。

上記したもの以外にも,取締役会,会計監査人,グループ会社の他の監査役との連携(定期的な会合,情報交換等)等も考えられるところです。

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