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社外取締役読本

グループ会社に関する事項

会社とその子会社から成る企業集団による経営(グループ経営),持株会社形態が普及してきたことから,親会社及びその株主にとっては,その子会社の経営の効率性及び適法性が極めて重要なものとなっています。

そこで,規則で定められていた「当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を保するための体制」が,平成26年会社法改正により法制化され(362条4項6号),当該体制の細目が平成27年規則改正によって定められるようになりました(規則98条1項5号,100条1項5号,110条の4第2項5号,112条2項5号)。

なお,法制化にあたり,「当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制」と定められていたものが,「当該株式会社及びその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制」と定められ,「親会社」が除外されました。

これは,当該会社の株主保護にとって,子会社の経営の効率性及び適法性の確保こそが重要となっていることを踏まえてのものです。

そもそも,子会社は,当該会社の重要な資産であり,当該会社の取締役は子会社の管理つき善管注意義務を負っていると解されており,当該解釈を前提として設けられたものと考えることができます。
このことから,当該会社における子会社の重要性によって,子会社の情報管理やリスク管理等の統制の内容についても,おのずから異なると考えておかなければなりません。

規則は,当該会社が子会社の内部統制システムの整備について決定すべきであることを規定するものではなく,当該子会社の業種,規模,重要性等を踏まえて,企業集団全体の内部統制についての当該会社における方針を定めることになります。

そして,子会社の内部統制システムの整備は,当該子会社において決議することになります。

また,規則において定められた事項は,あくまで例示列挙であり,これらの項目に限られるものではないと考えられています。

さらに,当該会社の場合と同様に,以下に示す事項ごとに区分して決議をすることが求められているわけではなく,企業集団における業務の適正を確保するための体制の整備に関する事項に,以下に示す事項が実質的含まれていると評価されるのであればよいとされています。

⑥ 当該株式会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を保するための体制(規則98条1項5号,100条1項5号,110条の4第2項5号,112条2項5号)

決議すべき事項として以下のものが示されています(論点解説338頁)

  1. ⅰ 親会社の計算書類又は連結計算書類の粉飾に利用されるリスクに対する対応
  2. ⅱ 取引の強要等親会社による不当な圧力に関する予防・対処方法
  3. ⅲ 親会社の役員等との兼任役員等の子会社に対する忠実義務の確保に関する事項
  4. ⅳ 子会社の監査役と親会社の監査役等との連絡に関する事項

一般的に,グループ全体としての企業理念の設定,グループマネジメントの導入,グループ会社間での責任・権限の明確化,子会社・関係会社管理規程の設定,内部監査部門による監査,コンプライアンス委員会の設置,使用人兼務役員の派遣,親会社への報告体制,グループ全体の社内通報制度の設置につき決議されています。

子会社の意思決定への関与,親会社の取締役による子会社取締役会への出席等については,子会社の取締役の監督責任が親会社の取締役の監督責任に直結する可能性があることに留意し,当該会社の取締役が,現実に行いうる監視・監督の内容を定める必要があります。

ところで,個別注記表に記載を要する親会社等との利益相反取引(計算規則112条1項)があるときは,①当該取引に当たり当該会社の利益を害さないように留意した事項(当該事項がない場合にあっては,その旨),②取引が会社の利益を害さないかどうかについての取締役会の判断及びその理由完全親会社との取引も含みます。,③社外取締役の意見が取締役会の判断と異なる場合には,社外取締役の意見が事業報告記載事項となります。

①について,親会社との取引により当該会社の利益を害さないための仕組みが設けられている場合には,「当該株式会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制」に直接的に含まれる事項ではありませんが,当該事項に関連させて記載しておくべきであると考えます。

②については,開示の対象となる取引について,個別に又は取引の時点で判断することまで求められるものではなく,取引の類型ごとに包括的に判断し,また,当該判断の内容が記載された事業報告の承認をもって取締役会の判断としてもよいとされています。

⑦子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当該株式会社へ報告に関する体制(規則98条1項5号イ,100条1項5号イ,110条の4第2項5号イ,112条2項5号イ)

当該会社及びその株主にとって,子会社の当該会社に対する情報の流れが確保されなければ,子会社の業務の執行の訂正を確保するための適切な措置を講じることができないため設けられたものです。

具体的には,当該会社に担当部署を設け,子会社から当該会社に対する報告体制を構築することです。

ただし,子会社の取締役等の職務の執行に係る情報の保存及び管理に対する体制についてまで決議する必要はないとされています。

⑧子会社の損失の危機の管理に関する規定その他の体制(規則98条1項5号ロ,100条1項5号ロ,110条の4第2項5号ロ,112条2項5号ロ)

子会社は,事業活動において様々なリスクに遭遇する可能性がありますが,そのようなリスクに対する当該会社としての管理体制の構築は,当該会社及びその株主にとって極めて重要です。

基本的には,当該会社の損失の危機の管理に関する規定その他体制と同様で,当該会社とまとめて記載されるのが一般的です。

⑨子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われていることを確保するための体制(規則98条1項5号ハ,100条1項5号ハ,110条の4第2項5号ハ,112条2項5号ハ)

当該会社と同様に子会社は,利益をあげることを目的とするものであることから,業務が適正に執行されていると評価されるためには,業務が法令や定款に従って行われているというだけでなく,業務が効率的に行われていることも必要であることから設けられたとされています。

決議すべき事項は,当該会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われていることを確保するための体制と同様で,当該会社とまとめて記載されるのが一般的です。

⑩子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法定及び定款に適合することを確保するための体制(規則98条1項5号ニ,100条1項5号ニ,110条の4第2項5号ニ,112条2項5号ニ)

子会社の業務の執行が子会社の取締役あるいはその使用人を介して行われることから,子会社の取締役,使用人の職務執行が法令・定款に適合することを確保する体制がなければ,公正性の確保が図れないために設けられました。

決議すべき事項は,当該会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法定及び定款に適合することを確保するための体制と同様で,当該会社とまとめて記載されるのが一般的です。

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