義兄(義弟)が勝手にした養子縁組は無効です。このような無効な養子縁組に基づいて、本来相続人でなかった者が相続人の外形を整えている者のことを表見相続人といいます。この表見相続人から遺産を取り戻すには、相続回復請求を行うことになるのです。相続回復請求は、裁判所に訴えを提起しなくともよく、書面で請求することもできます。
ただし、相続後の法律関係を早期に確定するために、相続回復請求は、表見相続の事実を知ったときから5年、または表見相続が行われたときから20年で行うことができなくなってしまいます。ですから表見相続の事実を知ったときには、早急に対処しなければなりません。
なお、勝手に養子縁組の届けを行い、戸籍上養子になる行為は、公正証書原本不実記載罪(刑法157条)の犯罪行為となりますので、悪質な場合には刑事告訴することも検討してもよいと思います。