遺言書がある場合、公正証書によって作成されたものでない場合には、まず家庭裁判所での検認という手続を済ませる必要になります。
そして、遺言書の内容を確認して、遺言執行者の指定があれば、遺言執行者が遺言書に従って分けていきます。遺言執行者の指定がなければ、相続人が遺言書に従って遺産を分けるという作業を行うことになるのです。ここで注意を要するのが、遺言書に遺産の全てが書かれているかという点です。仮に、遺言書に遺産の全てが記載されていない場合、記載されていない遺産は、遺言書がない場合の遺産相続と同じ手続で分割されることになります。
また、相続人の寄与分や遺留分については遺言によって否定することができませんので、これらに反する遺言は、部分的に効力がないということになりますので、紛争のもとになります。
遺言書がない場合には、遺産の調査を行い遺産相続の対象になる財産を確定します。そして、これらの遺産の評価を行い、各相続人に分割するという手続を行うことになります。遺言書がない場合の手続は、全て相続人全員の同意で行う必要があります。遺産相続がなかなか解決しない理由の一つが、いずれかの過程で相続人全員の同意が得られないという事態が発生するからです。この問題を解消するには、遺言書を作成しておく必要があるのです。しかし、既に説明したように、遺言書も万能ではありませんので、遺言書があるからといって紛争が生じなくなるという保障はありません。