遺産相続の対象となるのは、不動産や株式、預金などのプラスの財産だけはなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。例えば、亡くなられた方が事業を営んでいるとき、事業を営むことによって形成された財産だけでなく、事業に伴う借金も相続することになります。
これをどのように相続するのかという問題は非常に難しい問題です。
相続人が次々に相続の放棄をしてしまうと、予想もしない借金を一人で背負わされるということもありえることです。私も、次々に遺産相続の放棄が行われ、多額の借金があることも知らずに相続を認める行為を行ったため、悲運なことに自己破産手続を行わざるを得なくなった方を知っています。
また、実家にある山林や農地を管理していくには、肉体的にも、金銭的にも大きな負担を強いられることがあります。このような山林や農地を誰が引き継いで管理していくのかということも決定していかなければなりません。
さらに、遺産相続に付随する問題として、両親の一方が亡くなったときに残された者の面倒を誰がみるのかという問題もありますし、先祖代々お祭りをしてきたお墓などの祭事をだれが受け継ぐのか、地域社会で様々な行事がある場合に誰がそれを引き継ぐことになるのかなど、いろいろな問題が浮上してきます。
相続の問題というのは、なにも一部の富裕層だけの問題ではなく、この世の中で社会活動を行っている限り、誰しも直面する問題であるということを忘れないでください。