空き家の所有者は、法務局において不動産登記簿(不動産全部事項証明書)を取り寄せることにより、誰でも容易に確認することができます。
ただし、不動産登記簿を確認すると、何十年も権利関係の移動がなく、登記簿上の所有者が亡くなられているということがあります。
この場合には、登記簿上の所有者の除籍を取寄せ、相続人の戸籍や戸籍の付票を取り寄せることにより、相続人の特定や所在調査を行っていく必要があります。
除籍、戸籍(付票)の取り寄せは誰もが行うことができるわけではなく弁護士など一定の者しか行うことができませんので、相続人の特定、所在の調査は弁護士などに依頼するしか方法がありません。
空き家の所有者の調査を行いますと、多くの場合で相続人の特定、所在が明らかになりますが、相続人の特定を行うことができたとしても、相続人の所在が明らかにならない場合があります。
また、相続人の特定、所在の確認ができた場合にも、相続人の全員が相続放棄を行っており、所有者がいない場合もあります。
財産管理人の選任
相続人の特定はできたが所在が判明しない場合には不在者財産管理人、相続放棄等により相続人がいない場合には相続財産管理人を選任してもらい、これらの財産管理人に空き家を管理してもらうことになります。
不在者財産管理人、相続財産管理人の選任の申立ては、家庭裁判所に対して行い、家庭裁判所が選任します。また、管理する財産から財産管理人の報酬を捻出することができない場合には、申立人が裁判所に対して予納することになります。
よって、相続人の所在が不明、あるいは存在しない場合に財産管理人の選任を申立てる場合というのは、申立人において費用を負担しても財産管理人の選任が必要な場合ということになります。
例えば、相続人の所在が不明、あるいは相続人が存在しない空き家による被害で損害が発生し、判決を得て空き家を競売し損害の補填に充てる、空き家による損害が発生する可能性が高まってきたため、損害が発生しないように措置をとってもらう等の場合が考えられます。