給与所得者
事故直前3ヶ月前の平均収入を用い、不確定要素の強い職種についてはより長期間の平均収入を用います。但し、死亡、後遺障害事案における若年者(概ね30歳未満の者)については、実収入額が賃金センサスの学歴計、全年齢平均賃金を下回る場合であっても将来的に生涯を通じて学歴計、全年齢平均賃金を得られる蓋然性が認められる場合は学歴計、全年齢平均賃金を基礎とします。
事業所得者
原則として事故直前の申告所得額を基礎とします。但し、申告所得額を上回る実収入額の証明があった場合は、実収入額を基礎とします。所得中、実質的な資本の利子や近親者の労働によるものが含まれている場合は、被害者の寄与部分のみを基礎とします。事業を継続する上で休業中も支出を余儀なくされる家賃、従業員給与等の固定費も損害と認められます。死亡、後遺障害事案における若年者(概ね30歳未満の者)については、実収入額が、賃金センサスの学歴計、全年齢平均賃金を下回る場合であっても、将来的に生涯を通じて学歴計、全年齢平均賃金を得られる蓋然性が認められる場合は、学歴計、全年齢平均賃金を基礎とします。
会社役員
労務提供の対価部分は算定の基礎と認められるが、利益配当の部分は認められません。死亡、後遺障害事案における若年者(概ね30歳未満の者)については、実収入額が、賃金センサスの学歴計、全年齢平均賃金を下回る場合であっても、将来的に生涯を通じて学歴計、全年齢平均賃金を得られる蓋然性が認められる場合は、学歴計、全年齢平均賃金を基礎とします。
家事従事者(主婦)
賃金センサスのうち、学歴計・女性全年齢平均を基礎とします。有職者であり家事従事者である場合は、実収入額が学歴計・女性是年齢平均賃金を上回っているときは実収入額によるが、下回っているときは、学歴計・女性全年齢平均を基礎とします。
無職者
原則としてゼロであるが、治療が長期に渡り、治療期間中に就職する蓋然性が高いときは休業損害が認められることがあります。死亡、後遺障害事案においては、被害者の年齢や職歴、勤務能力、勤務意欲等に鑑み、就職の蓋然性がある場合には認められ、その場合、被害者の年齢や失業前の実収入額等を考慮し、蓋然性が認められる収入額を基礎とします。
幼児、生徒、学生
死亡、後遺障害事案において、原則として、賃金センサスの学歴計・全年齢平均賃金を基礎とします。大学生又は大学への進学の蓋然性が認められる者については、賃金センサスの大学卒・全年齢平均賃金を基礎とします。年少女子については、原則として、賃金センサスの男女を合わせた全労働者の学歴計・全年齢平均賃金を用います。
用語解説・資料
賃金センサス
労働能力喪失割合
労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基発第551号)を参考にして、障害の部位、程度、被害者の性別、年齢、職業、事故前後の就労状況、減収の程度等を総合的に判断して定める。
第1級:100%、第2級:100%、第3級:100%、第4級:92%、第5級:79%、
第6級:67%、第7級:56%、第8級:45%、第9級:35%、第10級:27%、
第11級:20%、第12級:14%、第13級:9%、第14級:5%
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間の始期は原則として症状固定日
未就労者は原則として18歳とし、大学卒業を前提とする場合は大学卒業時
労働能力喪失期間の終期は
原則として67歳まで
年長者については67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方を原則としつつ、被害者の性別、年齢、職業、健康状態等を総合的に判断して定めます。但し、むちうち症の場合は、後遺障害等級に応じ、12級程度は5年から10年、14級程度は2年から5年となります。
平均余命
厚生労働省大臣官房統計情報部編「平成19年簡易生命表」より
平成19年簡易生命表
ライプニッツ係数
後遺障害事案や死亡事案では、将来の損害を現在受領するので、中間利息控除をする必要があり、その割合は民事法定利率の5%とし、計算式はライプニッツ方式によります。