民泊

住宅宿泊事業の実施

設備・機器等の設置

住宅宿泊事業者は,宿泊者の衛生,宿泊者の安全,外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性を確保しなければなりません。

なお,住宅宿泊事業者が確保すべきものの概要は以下のとおりです。
最新の情報については,国土交通省のホームページには,「民泊制度ポータルサイト」で確認することができますので,こちらもご確認ください。

宿泊者の衛生の確保

  1. 宿泊者一人当たり3.3m²以上(内寸)の居室床面積を確保すること。
    宿泊者の占有ではない台所,浴室,便所,洗面所,廊下,押し入れ,床の間は含まない
  2. 定期的な清掃及び換気を行うこと。

宿泊者の安全の確保

  1. 非常用照明器具を設けること。
  2. 避難経路を表示すること。
  3. 火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置

なお,国土交通省告示(非常用照明器具の設置方法及び火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を定める件)に詳細な規定があります。

届出住宅が一戸建ての住宅・長屋であるのか,共同住宅・寄宿舎であるのか,家主同居で宿泊施設の床面積が50m²以下であるかといった規模等により,必要な措置が異なるため国土交通省告示の告示を確認して適切な措置を講じる必要があります。

また,避難経路の表示については,市町村の火災予防条例によって規制されていたり,消防法令や市町村の火災予防条例に基づく設備等の設定が求められることがありますので,消防署等への確認を行っておく必要があります。

外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性を確保

  1. 外国語で届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること。
  2. 外国語で移動のための交通手段に関する情報を提供すること。
  3. 外国語で火災,地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすること。

また,住宅宿泊事業者は,宿泊者名簿の備付け等,周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明を行なう必要があり,詳細な内容は住宅宿泊事業法規則に定められています。

宿泊者名簿(デジタル方式OK)

  • 宿泊者の氏名,住所,職業及び宿泊日,宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは国籍及び旅券番号
  • 宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置を講じ,作成の日から3年間保存する。
  • 届出住宅,住宅宿泊事業者の営業所又は事務所に掲げる

なお,国土交通省の「民泊制度ポータルサイト」に「電子宿泊者名簿」が公表されていますので参照してください。

周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明

書面の備付けその他の適切な方法により,以下の事項を説明

  1. 騒音の防止のために配慮すべき事項
  2. ごみの処理に関し配慮すべき事項
  3. 火災の防止のために配慮すべき事項
  4. その他,届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項

宿泊者の確認

一人あたり3.3?の居室面積の要件を充足するために宿泊者の人数,宿泊名簿を正確に作成するため宿泊者の氏名住所職業宿泊日国籍及び旅券番号の確認(パスポートの写しの保存により代替可)を行っておく必要があります。
なお,宿泊行為の開始までに,対面又は対面と同等な手段(①宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること,②当該画像が住宅宿泊事業者等の営業所等,届出住宅内・近傍から発信されていることが確認できること)により本人確認を行う必要があります。

本人確認については以下の内容に従って行う必要があります。

  1. 宿泊者に対し,宿泊者名簿への正確な記載を働きかけること。
  2. 日本国内に住所を有しない外国人宿泊者に関しては,宿泊者名簿の国籍及び旅券番号欄への記載を徹底し,旅券の呈示を求めるとともに,旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存すること。なお,旅券の写しの保存により,当該宿泊者に関する宿泊者名簿の氏名,国籍及び旅券番号の欄への記載を代替しても差し支えない。
  3. 営業者の求めにも関わらず,当該宿泊者が旅券の呈示を拒否する場合は,当該措置が国の指導によるものであることを説明して呈示を求め,さらに拒否する場合には,当該宿泊者は旅券不携帯の可能性があるものとして,最寄りの警察署に連絡する等適切な対応を行うこと。
  4. 警察官からその職務上宿泊者名簿の閲覧請求があった場合には,捜査関係事項照会書の交付の有無に関わらず,当該職務の目的に必要な範囲で協力すること。

長期滞在の場合には特に注意を要し,定期的な清掃等の際に,不審な者が滞在していないか,滞在者が所在不明になっていないか等について確認することが望ましいとされ,宿泊契約が7日以上の場合には,定期的な面会等により確認を行う必要があるとされています。

宿泊者への通知

外国語を用いた情報提供や説明等を行う必要がありますので,宿泊者が指定する言語を予め確認しておく必要があります。

外国人宿泊者に知らせるべき事項として以下のものがあります。なお,宿泊者が届出住宅に宿泊している間に必要に応じて閲覧できる方法によることが望ましいとされています。

  1. 届出住宅の設備の使用方法に関する案内
  2. 移動のための交通手段に関する情報提供
  3. 最寄りの駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報
  4. 災害が発生した場合における通報連絡先に関する情報
  5. 消防署,警察署,医療機関,住宅宿泊管理業者への連絡方法

その他,外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るため,条例等で定められている可能性がありますので注意してください。

内外国人を問わずに知らせるべき事項として以下のものがあります。
なお,宿泊者が届出住宅に宿泊している間に必要に応じて閲覧できる方法により行う必要があります。

  1. 騒音の防止のために配慮すべき事項
    大声での会話を控えること」,「深夜に窓を閉めること」,「バルコニー等の屋外での宴会を開かないこと」,「届出住宅内で楽器を使用しないこと」等があります。
  2. ごみ処理に関し配慮すべき事項
    市町村における廃棄物の分別方法等に沿って,住宅宿泊事業者の指定した方法によりゴミを捨てること等があります。
  3. 火災の防止のために配慮すべき事項
    ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法及びその際の注意事項」,「初期消火のための消化器の使用方法」,「避難経路」,「通報措置」等があります。
  4. 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項
    過去の苦情内容を踏まえて,特に注意すべき事項(性風俗サービスを届出住宅内で利用しないこと等)を説明する必要があります。

清掃・換気

住宅宿泊事業者は,定期的な清掃及び換気を行う必要があります。
届出住宅の設備や備品等は清潔に保ち,ダニやカビ等が発生しないように除湿を心がける。
寝具のシーツ,カバー等直接人に接触するものについては,宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替える必要があります。

循環式浴槽や加湿器を備えている場合には,宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯は抜き,加湿器の水を交換し,汚れやぬめりが生じないように定期的に洗浄等を行うなど,取扱説明書に従って維持管理することが求められます。

宿泊者が,重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症に罹患した疑いがあるとき,その他公衆衛生上の問題を引き起こす事態が発生するおそれがあるときは,保健所に通報するとともに,その指示を受け,使用した居室,寝具,及び器具等を消毒・廃棄する等の必要な措置を講じる必要があります。

ごみ処理

宿泊事業者は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従い,事業活動に伴って生じた廃棄物として当該ゴミを処理しなければなりません。

宿泊事業者は,宿泊者に対し,市町村における廃棄物の分別方法等に沿って,住宅宿泊事業者の指定した方法によりゴミを捨てること等を説明する必要があります。

苦情への対応

宿泊事業者は,深夜早朝を問わず,常時,宿泊者が滞在していない間も,応対又は電話により対応する必要があります。

宿泊事業者は,誠実に対応する必要があり,回答を一時的に留保する場合にも,回答期日を明示して後日回答する等の配慮が求められます。

苦情及び問合せが,緊急の対応を要する場合には必要に応じて,警察署,消防署,医療機関等の然るべき機関に連絡するとともに,宿泊事業者も現場に急行して対応しなければなりません。

苦情が発生し,宿泊者に注意を行っても改善されない場合,現場に急行して退室を求める等の必要な措置をとることが求められます。

なお,住宅宿泊管理業者に委託している場合には,管理受託契約に宿泊拒否等の対応の権限を与える旨の規定を定めておくことが望ましいといえます。

定期報告

宿泊事業者は,都道府県知事等に,以下の事項を定期的に報告しなければなりません。報告は,「民泊制度運営システム」を利用して行うことになります。

定期報告は,毎年2月,4月,6月,8月,10月,12月の15日までに,それぞれの月の前2か月分の実績を報告することになります(例えば,4月15日には,2月1日の正午から3月1日の正午までの分となります。)。

  1. 届出住宅に人を宿泊させた日数
    1日の正午から翌日の正午までを1日として届出住宅に人を宿泊させた日数
  2. 宿泊者数
    実際に届出住宅に宿泊した宿泊者の総数
  3. 延べ宿泊者数
    1日宿泊するごとに1人と算定した数値の合計
  4. 国籍別の宿泊者数の内訳

報告を怠り,都道府県知事等と連絡がとれないまま30日が経過した場合,事実上の廃業とみなされる場合がありますので注意をしてください。

住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託している場合であっても,住宅宿泊事業者が自らの責任おいて行わなければなりません。

住宅宿泊管理業務を委託している場合には,住宅宿泊管理業者が宿泊者名簿の記載を行うことになりますので,管理受託契約において定期的な報告義務を課しておく必要があります。

届出住宅に長期の賃借人が入居することになり宿泊事業を休止する場合,廃業の届を提出するのも一つの方法ではありますが,定期報告や標識掲示を継続して事実上の休止を行うのも一つの方法です。

なお,この場合,標識継続することを賃借人によく説明し,後日トラブルにならないように配慮する必要があります。

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